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JIS X 0015:2002
情報処理用語(プログラム言語) 2002改正●1987制定

番号 用語 定義 対応英語
15.01.01 構文素●字句要素●字句単位 プログラム言語のアルファベットからなる1文字以上の列であって,規約に基づいて意味上の基本単位を表現するもの。(例) 2G5というリテラル,Pascalにおけるlast_nameのような識別子。 lexical token●lexical element●lexical unit
15.01.02 言語構成要素●言語要素 プログラム言語の規則に従って一つ以上の構文素から形成される,プログラムの構文的に容認できる部分。 language construct
15.01.03 識別子(プログラム言語における) 言語構成要素を名付ける構文素。(例)変数,配列,レコード,ラベル,手続きなどの名前。(備)識別子は,通常,英字で始まり,場合によっては英字,数字などの文字が続く。 identifier (in programming languages)
15.01.04 既定義識別子 プログラム言語の部分として定義される識別子。(例)予約語。(備)既定義識別子が予約されていなかった場合,その識別子を用いる宣言によって,その宣言の有効範囲における意味が再定義される。 predefined identifier
15.01.05 予約語 プログラマが再定義できない既定義識別子。(備)予約語のないプログラム言語もある。 reserved word
15.01.06 区切り記号 構文上の単位と見なされる構文素又は文字列の始まり又は終わりを示す別の構文素。(備)1.特殊文字又は予約語が,区切り記号として機能する場合もある。2.分離記号(15.01.07)参照。3.用語“分離記号”を,この意味で使用しないほうがよい。 delimiter●separator (deprecated in this sense)
15.01.07 分離記号 隣り合う構文素又は構文単位が単一の項目として解釈されないようにするための区切り記号。(例)間隔文字又は書式制御文字。(備)区切り記号(15.01.06)参照。 separator
15.01.08 多重定義する ある構文素に対して二通り以上の意味を割り当てる。(例)構文素“+”は,整数加算,実数加算,和集合,結合などを意味することがある。 <to> overload
15.01.09 曖昧性除去 同じ順番で配列された構文素からなる言語構成要素が幾つかあるうちで,プログラム中に特にその一つが現れたとき,どの言語構成要素が参照されているかを決定する仕組み。 disambiguation
15.01.10 ラベル(プログラム言語における)●名札 プログラムの中で場所を表すための識別子。(備)1.ラベルは,文の参照に使用されることが多い。2.Basicでは,行番号がラベルとしての機能を果たすが,必ずしも制御の移行先とはならない。3.Fortranでは,ラベルは,最大数字5個で構成し,文の左に先行して置き,その文を参照するために使用する。 label (in programming languages)
15.01.11 注釈●注 プログラムの実行に影響を及ぼさないテキストを,プログラムに含ませるために使用する言語構成要素。(例)読者に対する説明,自動文書システム用のデータ。 remark●comment
15.02.01 宣言 プログラムの中に識別子を導入し,その識別子の解釈方法を指定する明示的な言語構成要素。(例)データ型,記憶編成,パッケージ及びタスクの宣言。(備)プログラム言語によっては,宣言が文と見なされるものもある。 declaration
15.02.02 宣言部●データ部 一つ以上の宣言で構成されるプログラムの部分。(備) COBOLでは,宣言部は“データ部”(data division)とよばれる。 declarative part●data division
15.02.03 省略時●省略時の●既定●既定の 明示的に何も指定しなかった場合に仮定される属性,データ値又はオプションに関する用語。(例) FORTRANでは,省略時の命名法によって,英字I〜Nのいずれか一つで始まる名前が整数型の変数を表すものと規定している。 default
15.02.04 暗示宣言●暗示的宣言 対象を指す識別子の存在によって引き起こされる宣言であって,省略時解釈によって識別子の特性が決まるもの。(例) Pascalにおける“output=text” implicit declaration
15.02.05 既定義●既定義の●組込み プログラム言語の定義によって宣言されている言語構成要素に関する用語。(例) PL/1における既定義の関数SIN,FORTRANにおける既定義のデータ型INTEGER。 predefined●built-in●intrinsic
15.02.06 有効範囲●宣言の有効範囲 宣言が適用されるプログラムの部分。 scope●scope of declaration
15.02.07 共用データ 非同期又は並行に実行されることがある二つ以上のモジュールによってアクセスされるデータ。(例) FORTRANにおけるCOMMON,ある種のプログラム言語における“compool”,EXTERNALが前に付いたPL/1の変数,Adaにおけるパッケージの一形式。 shared data
15.02.08 動的有効範囲 モジュールの全体又は一部分の活性化によって作り出される有効範囲であって,あるモジュールで使用している宣言を,その宣言をもたない別のモジュールでも実行中に使用するようにしたもの。 dynamic scope
15.02.09 静的有効範囲 ある宣言の行われているモジュールを取り囲む最も内側のモジュールを見つけることによって決まるような有効範囲。(備)プログラムの机上検査は,静的有効範囲を見つけるという目的を十分に満たす。 static scope
15.02.10 宣言区域 宣言を構成するプログラムの部分。 declarative region
15.02.11 局所●局所的 言語構成要素に関する用語であって,その言語構成要素の有効範囲が宣言されている宣言区域の内側にだけ及んでいる場合に使用する。 local
15.02.12 大域●大域的 言語構成要素に関する用語であって,その言語構成要素の有効範囲がプログラムの全モジュールに及んでいる場合に使用する。 global
15.02.13 外部●外部的 言語構成要素に関する用語であって,その言語構成要素を参照しているモジュールの外側で宣言されている場合に使用する。(備)名前を用意し,全定義が外部にあることを示すためには,宣言を必要とすることがある。 external
15.02.14 静的 対象に関する用語であって,その対象がプログラム全体の実行中ずっと存在し,それがもつ値が保持されている場合に使用する。(例)ある実行から次回の実行までに値を保持するために静的に宣言されている副プログラムの変数。 static
15.02.15 動的 データ属性に関する用語であって,その値がプログラムの全体又は一部分の実行中にだけ確立されている場合に使用する。(例)可変長のデータ対象の長さは動的である。 dynamic
15.02.16 生存期間 実行時間の一部分であって,ある言語構成要素が存続する期間。 lifetime
15.02.17 可視性 モジュール内の特定の場所にある特定の言語構成要素を参照できる能力。 visibility (1)
15.02.18 可視範囲 プログラムの一部分であって,その内側で特定の言語構成要素を参照できるもの。 visibility (2)
15.03.01 データ構造 データ単位とデータ自身との間の物理的又は論理的な関係。 data structure
15.03.02 データ対象(プログラム言語における) ファイル,配列又はオペランドのようなデータ構造の要素であって,プログラムの実行にとって必要とされるもの。(備)データ対象は,定数であっても変数であってもよい。 data object (in programming language)
15.03.03 変数(プログラム言語における) 宣言又は暗示的宣言によって確立される四つ組であって,識別子,データ属性の集合,一つ以上のアドレス及びデータ値で構成され,アドレスとデータ値との間の関係が変化しうるもの。(備)プログラム言語によっては,アドレスの変化に従って関係するデータ値が変化したり,アドレスは変化しないが,通常は関係するデータ値がプログラムの実行中に変化したりするものもある。 variable (in programming languages)
15.03.04 データ値 宣言済みのデータ対象の集合の要素であって,特定の文脈において,変数,データ型などの言語構成要素と関連づけられるもの。(備)原則的には,データ値は,数学における“関数値”と区別し,数値表現における“数の値”及び“位置の値”とも区別する。 data value
15.03.05 定数 宣言又は暗示的宣言によって確立される四つ組であって,識別子,属性の集合,一つ以上のアドレス,及び単一のデータ値で構成されるもの。 constant
15.03.06 集成式●集合体 構成要素の構造化された集まりであって,その要素は同種のデータ構造であっても異種のデータ構造であってもよく,その集まりのデータ構造自身は対応する合成型の構成部分であってもよいもの。 aggregate
15.03.07 集成式の値 集成式に関連づけられたデータ値。 aggregate value
15.03.08 配列 配列型を実現値とする集成式であって,各要素又は要素の適切な集まりが他とは無関係に,かつ,個別に参照されるもの。 array
15.03.09 部分配列 任意の次元に沿って連続したセルからなる配列の部分。(備) Adaでは,部分配列は基本操作でもある。 array slice●slice
15.03.10 可変部 データ対象で構成されるレコードの一部分であって,対応するデータ構造又は宣言済みのデータ型を変えることが可能なもの。(備)データ対象の個数も構成も変えてもよい。 variant part
15.03.11 可変レコード 可変部をもつレコード。(備)レコードは,可変部にデータ型を指示する判別子を含むことがある。 variant record
15.03.12 判別子 パラメタに似た言語構成要素であって,与えられた可変レコード内部で使用されるデータ構造を指定するもの。 discriminant
15.03.13 パラメタ(プログラム言語における) モジュール間でデータ対象又はデータ値を授受するための言語構成要素。 parameter (in programming language)
15.03.14 実パラメタ●実引き数 呼出し又ははん(汎)用体専用化において,データ対象とその対応する宣言とを関連づけるために使用されるパラメタ。(例)式,識別子などの言語構成要素。(備)対応する宣言は,仮パラメタとよばれる。 actual parameter●actual argument
15.03.15 仮パラメタ●仮引き数 あるモジュールの宣言の中で定義され,呼出し又ははん(汎)用体専用化において実パラメタと関連づけられるパラメタ。 formal parameter●dummy argument
15.03.16 パラメタ結合 仮パラメタと,呼出し又ははん(汎)用体専用化の中の対応する実パラメタとの関連づけ。 parameter association
15.03.17 データ属性 データ型,データ対象,モジュールなどの言語構成要素に関する既定義の特性。(例)実数型は,PRECISIONというデータ属性をもち,SINGLE又はDOUBLEというデータ値を伴うことがある。タスクは,TERMINATEDというデータ属性をもつことがあり,その属性は,タスクが終了したときはTRUE,終了しなかったときにはFALSEになる。 data attribute
15.03.18 名前の修飾●修飾 プログラムの一部分の有効範囲において言語構成要素を参照するための仕組みであって,その部分への参照と,その部分の中の言語構成要素に対して宣言された識別子とによって行われるもの。(例)レコード要素の参照(COBOLの B OF A),ライブラリのメンバ,モジュールの中の言語構成要素。 name qualification●qualification
15.03.19 別名 ある言語構成要素に対する代替の識別子。 alias
15.03.20 ポインタ(プログラム言語における) あるデータ対象のアドレスをデータ値とする別のデータ対象。(備)付図1参照。 pointer (in programming languages)
15.03.21 空ポインタ データ対象を何も明示的に指していないポインタ。(備)プログラム言語によっては,空ポインタは,nil,nullなどと書き表される。 null pointer
15.04.01 データ型 指定されたデータ構造をもつデータ対象の既定義の集まり,及び許容された操作の集まりであって,これらの操作の一つを実行するときにそのデータ対象がオペランドとしての役割を果たすもの。(例)整数型は,非常に単純な構造をもっている。その各実現値は,通常,値とよばれるが,指定された範囲の整数の要素を表現したものである。許容される操作には,これらの整数の上での通常の算術演算が含まれる。(備)1.文脈上明らかな場合,“データ型”の代わりに“型”という用語を使用してもよい。2.付図1参照。3.17.05.08と同一用語であるが,例及び備考を追加した。 data type●datatype
15.04.02 抽象データ型●ADT(省略形) データ構造体のクラスであって,そのデータ構造体において用意されている操作又は機能の一覧,それらの操作に関する形式的な特性,及び内部的な実現方法とは無関係なインタフェースによって記述するもの。 abstract data type●ADT (省略形)
15.04.03 密閉型 外部から参照できるように定義したインタフェース,並びに内部構造及び関連した操作に関しては外部からは参照できないように定義した実現方法をもつデータ型。 encapsulated type
15.04.04 スカラ型●単純型 個々の実現値がスカラを表現しているデータ型。(備)1.Pascalでは単純型といい,順序型又は実数型のいずれかである。Adaではスカラ型といい,離散型又は実数型のいずれかである。2.付図1参照。 scalar type●simple type
15.04.05 原子型 個々のデータ対象が細分不可能な単一のデータ値で構成されるデータ型。 atomic type
15.04.06 論理型●ブール型 データ対象は論理値(通常はTRUE又はFALSE)だけを想定し,ブール演算子だけで操作できるデータ型。(備)文字型,列挙型,整数型,実数型も参照。 logical type●Boolean type