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JIS X 0017:1997
情報処理用語(データベース) 1997制定

番号 用語 定義 対応英語
17.01.01 データベース 適用業務分野で使用するデータの集まりであって,データの特性とそれに対応する実体の間の関係とを記述した概念的な構造によって編成されたもの。
参考 01.08.05と同じであるが,原国際規格に合わせて“実体との間の関係を記述…”を“実体の間の関係とを記述…”に,さらに,分かりやすい表現にするために,“複数の適用業務分野を支援する…”の部分を“適用業務分野で使用する…”に変更した。
database
17.01.02 スキーマ 思考の特定のレベルに関係する,データベースの構造についての完結した記述。 schema
17.01.03 データベース管理システム●DBMS(省略形) データベースの定義,生成,操作,制御,管理及び使用のための,ハードウェア及びソフトウェアに基づいたシステム。
備考 データベースを使用するためのソフトウェアは,データベース管理システムの一部分でも,独立のデータベース管理システムでもよい。
database management system●DBMS
17.01.04 情報システム(データペースにおける) 情報の維持及び操作のためのシステムを形成する概念スキーマ,情報ベース及び情報処理系。 information system (in databases)
17.01.05 経営情報システム●MIS(省略形) 組織の管理者層による意思決定を支援する情報処理システム management information system●MIS
17.01.06 利用者ビュー 特定の利用者又は利用者グループにとっての論議領域の見方,及び関連する情報であって,対応するデータの集まりによって表現されたもの。 user view
17.01.07 データモデル(1) 情報システムにおける形式的記述,及び適用されるデータベース管理システムの要件に従って,データベースの中のデータを構造化するパターン。 data model
17.01.08 データモデル(2) 組織(企業,官公庁など)における情報構造を反映した方法でのデータ編成の記述。 data model
17.01.09 データモデル化機能●DMF(省略形) データモデル(17.01.08)を実現するためのソフトウェア。 data modelling facility●DMF
17.01.10 データ構造化規則 データの構造を,特定のデータ型の実現値として指定する規則。 data structuring rule
17.01.11 データ対象(データべースにおける) 一つの単位として扱われるデータであって,既知であるか又は既知であるとみなしたデータ構造の実現値を表現するもの。 data object
17.01.12 データ操作規則 特定のデータ型のデータに対して許容された操作に従って,そのデータ型の実現値としてのデータ対象を操作するための規則。 data manipulation rule
17.01.13 データベーススキーマ 次の二つの特性をもつスキーマの集まり。
a)特定の論議領域又は実体世界に関する思考の特定のレベル,及び適切なデータベースの見方に関係する。
b)思考の各レベルに関連する情報ベースの矛盾のない文の集まりの表現形式を定義し,これらの形式に対する操作の側面を含む。
database schema
17.01.14 データベースサブスキーマ データベーススキーマのうち一つ以上の適用業務に関係する部分。 database subschema
17.02.01 概念レベル 情報システムにおける論議領域の特性又は実体世界を記述した情報の解釈及び操作だけに限った見方。 conceptual level
17.02.02 概念モデル 論議領域の特性の,実体及び実体関連による表現。 conceptual model
17.02.03 命題 実体に関係する事象について認識できる状態であって,その事象に関して成立していることを主張したり否定したりできるもの。 proposition
17.02.04 情報べース 特定の実体世界に関して成立する命題を表現した文の集まりであって,文同士でも概念スキーマとも矛盾しないもの。 information base
17.02.05 実体 現在に存在し,過去に存在し,又は将来に存在し得る,具体的又は抽象的な事物,及び事物間の結び付き。
例 人,もの,事象,理念,処理
備考 データが入手可能であってもなくても,実体は存在し得る。
entity
17.02.06 論議領域●対象領域 特定の文脈において関心のあるすべての実体。
例 “財務”に関心のある場合は,“ある企業の財務面のすべて”が論議領域になる。
備考 論議領域は,複数の実体世界を含むことができ,まだ認識されていない又は考慮されない実体を含むことができる。
universe of discourse
17.02.07 実体世界 論議領域の特定の見方に関連する実体の集まり。
例 “支払給与”及び“売掛勘定”は,“ある企業の財務面のすべて”という論議領域における実体世界と考えることができる。
entity world
17.02.08 実体クラス 共通の属性をもつ実体の集まり。
例 商取引,従業員
entity class
17.02.09 実現値●実体実現値 ある実体クラスの特定の実体。
例 特定の商取引又は特定の従業員
occurrence●entity occurrence●instance●entity instance
17.02.10 属性 実体の,名前付きの特性。 attribute
17.02.11 属性値●値 ある属性の特定の実現値。
例 “青”は,属性“色”の属性値である。
attribute value●value
17.02.12 属性定義域●定義域(データベースにおける) ある属性のとり得るすべての値の集まり。 attribute domain●domain (in databases)
17.02.13 属性クラス ある実体クラスの実体実現値に関して,同じ特性に対応してとり得るすべての属性値の集まり。
例 関係表の列の名前は,属性クラスの名前とみなすことができる。
備考 属性クラスは,対応する属性領域の一部であってもよい。
attribute class
17.02.14 実体識別●識別 一つ以上の属性の属性値によって特定の実体の実現値を一意に識別する方法。 entity identification●identification
17.02.15 実体関連●関連 実体間,又は同じ実体クラスの属性間の認識された結び付き。
備考 特定の文脈では,実体関連が実体とみなされることがある。
entlty relationship●relationship
17.02.16 属性関連●関連 属性間の認識された結び付き。 attribute relationship●relationship
17.02.17 従属性 ある実体又は属性は,別の実体又は属性がそれぞれ存在するときに限り,存在することを示す実体関連又は属性関連。 dependency
17.02.18 動作 情報ベース又は概念スキーマに存在する文の集まりに対する一連の基本動作であって,一つの単位として扱われ,文の集まりを別の文の集まりに変更したり,検索したりするもの。 action
17.02.19 基本動作 スキーマの文脈に従った,文の挿入,削除又は検索。 elementary action
17.02.20 許容動作 指定された規則又は制約に合致する動作であって,情報ベース又は概念スキーマに存在する,矛盾のない文の集まりを別の矛盾のない文の集まりに変更したり,矛盾のない文の集まりを検索したりすること。 permissible action
17.03.01 外部レベル 利用者向きの情報表現に限った立場で思考するレベル。 external level
17.03.02 内部レベル 情報システムの物理的な実現方法に従った情報表現に限った立場で思考するレベル。 internal level
17.03.03 外部スキーマ データべーススキーマのうちで外部レベルと関係する部分であって,特定の利用者ビューの立場で起こり得る文の集まりの外部表現と,その表現に対する操作面とを定義したもの。 external schema
17.03.04 内部スキーマ データベーススキーマのうちで内部レベルと関係する部分であって,特定の利用者ビューの立場で可能な文の集まりの内部表現と,その表現に対する操作面とを定義したもの。 internal schema
17.03.05 概念スキーマ 論議領域で成立すべき命題を表現する矛盾のない文の集まり。 conceptual schema
17.03.06 概念サブスキーマ 概念スキーマのうち一つ以上の適用業務に関係する部分。 conceptual subschema
17.03.07 論理レベル 概念スキーマ及び対応する情報ベースには従い,物理的な実現方法は抽象化して,データベース及びそのアーキテクチャを取り扱う立場で思考するレベル。 logical level
17.03.08 物理レベル データ構造の物理表現,並びにデータ処理システム内でのデータ構造とその対応する記憶編成及びアクセス操作との間の写像の立場で思考するレベル。 physical level
17.03.09 論理スキーマ データベーススキーマのうち,論理レベルと関係する内部スキーマの部分。 logical schema
17.03.10 物理スキーマ データベーススキーマのうち,物理レベルと関係する内部スキーマの部分。 physical schema
17.03.11 記憶編成 データ構造とその結び付きとに対応した,記憶装置の配置及びアクセス操作の組合せ方。
備考 データ構造の論理的な要素は,それらの物理的な格納領域に写像される。例えば,レコード型のレコードは,ファイルの格納レコードに写像される。
storage organization
17.03.12 ファイル編成●データベースファイル編成 特定のファイル及びそのレコードのデータ構造に従った記憶領域の配置及びアクセス法の実現であって,それによってデータベースの一部分であるファイルを提供するもの。
参考 この項は,原国際規格の中でPart 04にも記載するよう指示されている。このため,対応日本工業規格であるJIS X 0004-1987[情報処理用語(データの構成)]の改正の際に,この項は同規格にも記載されることになる。
file organization●database file organization
17.03.13 主キー●一次キー 一つのレコードを一意に識別するキー。 primary key
17.03.14 副キー●二次キー 主キーではないキーであって,索引が維持されており,識別されるレコードが二つ以上あってもよいもの。 secondary key
17.03.15 アクセス経路 必要とするデータに到達するアドレスの連鎖。
備考 一つのデータ項目に関して二つ以上のアクセス経路が同時に存在することがある。
access path
17.03.16 アクセス経路独立性 アクセス経路が変更されてもプログラムの中でデータの論理記述を変更する必要のないように,データの論理記述をそのアクセス経路から独立させること。 access path independence
17.03.17 現在ポインタ データ操作言語の命令文を実行すると必要に応じて更新されるポインタであって,データ操作における現在レコードの場所を識別するもの。 current pointer
17.03.18 入口点(データベースにおける) 利用者の指令によってデータベースの中に入ったときに,最初にアクセスされるレコード。 entry point (in databases)
17.04.01 関係 同じ属性をもつ実体実現値及びそれらの属性の集まり。
備考 関係データベースでは,実体に対応する行と,属性に対応する列とからなる表によって,関係を表現することができる。
relation
17.04.02 関係クラス 同じ属性の集まりを共通にもつすべての関係。
備考 関係クラスは,属性名の集まりによって特徴づけられる。
relation class
17.04.03 関係構造 関係として配置されるデータの構造。 relational structure
17.04.04 関係モデル その構造が関係の集まりに基づくデータモデル。
例 SQLは,そのようなモデルを表現する。
relational model
17.04.05 関係データベース 関係によってデータが編成されアクセスされるデータベース。 relational database
17.04.06 関係データベース管理システム●RDBMS (省略形) 関係データベース用に設計されたデータベース管理システム。 relational database management system●RDBMS
17.04.07 関係データベースにおける関係の一部分であって,実体とその属性とを一意に記述するもの。
備考 組は,関係表の1行によって表現することができる。
tuple
17.04.08 関係代数 関係を表現し操作するための代数。
備考 関係代数における一般的な演算は,射影,選択,結合,デカルト積(直積),和,積及び差である。
relational algebra
17.04.09 射影 関係代数の演算の一つであって,ある関係から属性の部分集合を使用して新しい関係を作り出すもの。
備考 関係代数では,重複部分は削除されるが,すべての実現がこの規則に従っているとは限らない。
projection
17.04.10 選択 関係代数の演算の一つであって,ある関係から実体実現値の部分集合である,新しい関係を作り出すもの。
例 属性として“著者”及び“表題”を含む“書籍”という関係が与えられたとき,特定の著者による著作物の部分集合を作り出す演算。
selection
17.04.11 結合 関係代数の演算の一つであって,各関係の一つ以上の属性に閲し共通の定義域をもつ二つ以上の関係から一つの新しい関係を作り出すもの。
備考 この操作は,関係のデカルト積に基づいて行われる。元の関係の行のうち,共通の定義域の値が同じである行どうしを順次組み合わせる。
join
17.04.12 正規化(データベースにおける) 一つの関係を,属性間の冗長性及び矛盾を排除して,より単純な一つ以上の関係に変換する過程であって,参照整合性の維持に役立つ。 normalization (in databases)
17.04.13 参照整合性 外部キーの属性値が,他の関係の主キーの値と同一であるか,又はナル値であるような,関係の集まりのもつ特性。
参考 ある表の中の一つの属性が外部キーである場合,その参照先が存在しないときにナル値を与えることがある。
referential integrity
17.04.14 基数(データベースにおける) 関係データベースにおける,関係の中の組の個数。 cardinality
17.04.15 外部キー ーつの関係における,別の関係の中の主キーに対応する属性のグループ。 foreign key
17.04.16 カーソル(データベースにおける) 関係データベースにおける,表の中の行へのポインタであって,その表の中を移動するために使用されるもの。
備考 SQLでは,現在ポインタをカーソルと呼ぶ。
cursor (in databases)
17.04.17 関数従属性 関係の属性の対(A,B)の性質であって,Aの各属性値に対し,関連するBの属性値が一つだけ存在するもの。
備考 数学的には,“AからBへの写像が存在する”という。
functional dependence
17.05.01 階層モデル データモデルであって,その構造のパターンが木構造に基づいているもの。 hierarchical model
17.05.02 木構造 実体又は属性をノードとして配置したデータ構造であって,各ノードにはたかだか一つの親ノードがあり,かつ,根ノードが一つしかないもの。 tree structure
17.05.03 ネットワークモデル データモデルであって,その構造パターンがネットワーク構造に基づいているもの。
例 NDLモデル
network model
17.05.04 ネットワーク構造 実体又は属性をノードとして配置したデータ構造であって,木構造とは違い,ノードが複数の親ノードをもつことが可能であるもの。 network structure
17.05.05 根ノード 親ノードをもたないノード。 root node
17.05.06 親ノード 直接に従属するノードを少なくとも一つもつノード。
参考 二つのノードA,Bがあって,ノードBがノードAに直接に従属するとき,ノードBからみてノードAを親ノードという。
parent node
17.05.07 終端ノード●葉 従属するノードをもたないノード。 terminal node●leaf
17.05.08 レコード(データベースにおける) レコード型の実現値であるデータ対象。 record (in databases)
17.05.09 データ型(データベースにおける) 指定されたデータ構造をもつデータ対象の定義された集まり,及び許容された操作の集まりであって,これらの操作の一つを実行するときにそのデータ対象が作用対象としての役割を果たすもの。
例 整数型は非常に単純な構造をもち,各実現値は通常,値と呼ばれ,指定された範囲の整数の要素を表現する。可能な操作には,これら整数に施される通常の算術演算が含まれる。
data type (in databases)
17.05.10 合成型 一つ以上のデータ型をもつデータ構造で構成されたデータ型であって,許容された操作の固有の集まりをもつもの。
例 “複素数”というデータ型は,二つの“実数”データ型からなる。
備考 合成型に対する操作は,その実現値を一つの単位として操作することもあり,実現値の一部分を操作することもある。
composite type
17.05.11 レコード型(データベースにおける) フィールド型又は他のレコード型を構成要素とする合成型。 record type (in databases)
17.05.12 データ欄●フィールド(データベースにおける) フィールド型の実現値であるデータ対象。 data field●field (in databases)
17.05.13 フィールド型 データ型であって,その実現値は,概念的な文脈では基本項目であり,その文脈では基本的な性質の情報を表現するもの。
例 “日付”というデータ型は,ある文脈では基本項目であるが,別の文脈では“年”,“月”及び“日”という三つのフィールド型で構成されることがある。
備考 文脈によっては,フィールド型は,スカラ型であることも合成型であることもある。
field type
17.05.14 親子集合(ネットワ一クモデルにおける) 対応する親子集合型に従った,レコードの名前付きの集まり。