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JIS X 0133-4:2001
ソフトウェア製品の評価―第4部:取得者のプロセス
2001制定
番号
用語
定義
対応英語
4.1
商用既製ソフトウェア
市場ニーズに依存して要求仕様が定められ,市販によって入手可能で,幅広い一般消費者によって利用に適していることが示されているソフトウェア。備考 IEEE Std 1062-1993の定義も参照する。
commercial-off-the-shelf software●COTS
4.2
注文ソフトウェア
利用者の要求仕様から特定のアプリケーションのために開発されたソフトウェア。
custom software
4.3
既存のソフトウェア
既に開発され入手でき,そのまま又は修正によって利用可能で,供給者,取得者,又は第三者によって提供されたソフトウェア製品。備考 “既製品(off-the-shelf product)”の定義も参照する(JIS X 0160:1996)。
existing software
A.1
取得者
供給者から,システム,ソフトウェア製品又はソフトウェアサービスを取得又は調達する組織。備考 取得者は,発注者,顧客,所有者,利用者又は購入者のいずれであってもよい。(JIS X 0160:1996)
acquirer
A.2
取得
システム,ソフトウェア製品又はソフトウェアサービスを得るための一連の作業。(JIS X 0160:1996)
acquisition
A.3
属性
実体の測定可能な物理的又は概念的な特徴。
備考 属性は,内部属性でも外部属性でもよい。
attribute
A.4
監査
ソフトウェア製品及びその作成プロセスが要求事項を満足Lているかどうかを,権限を与えられた者が独立した立場で評価すること(JIS X 0160:1996)。
audit
A.5
基準線
構成品目がそのライフサイクル上の決められた時期に媒体に関係なく,正式に指定し確定された構成品目の正式版として認定されたもの(JIS X 0160:1996)。
baseline
A.6
CASEツール
JIS X 0160:1996で定義されているようなソフトウェアライフサイクル活動に対して,自動的に支援することでソフトウェア技術者を援助することのできるソフトウェア製品。
備考1.CASEツールは,限られた機能範囲だけで又は広範な機能範囲で,支援を提供してもよい。
備考2.CASEツールは,次に示すように,多様に使用されるかもしれない。
・単独ツールの場合:環境要因との互換性だけに関心を払うのがよい。
・相互に直接通信しあう小グループの場合:おそらく自社独自に,事前に統合範囲を明確にしているものと考えてもよい。
・ソフトウェアエンジニアリング環境のような大きなフレームワークの存在:フレームワークに関連するサービスの利用に関するツールの能力に関心を払うのがよい。(JIS X 0132:1996)
CASE tool
A.7
構成品目
決められた時点で実利用者が使用する機能を実現し,かつ,全体構成の中で一意に識別できる“もの”をいう(JIS X 0160:1996)。
configuration item
A.8
契約
ソフトウェアサービスの提供に関する,又はソフトウェア製品の提供,開発,製造,運用若しくは保守に関する,法的強制力のある二者間の合意。又は,一つの組織の中で行われる同様の内部合意。(JIS X 0160:1996)
contract
A.9
開発者
ライフサイクルプロセスを通して,開発作業(要求分析,設計及び受入れテストを含む。)を遂行する組織(JIS X 0160:1996)。
developer
A.10
直接測定値
他のいかなる属性の測定値にも依存しないある属性の測定値。
direct measure
A.11
評価モジュール
特定のソフトウェア品質特性又は品質副特性のための一組の評価技術。それには,次のものが含まれる。
・評価方法及び技法。
・評価への入力。
・測定し収集すべきデータ。
・受入れ基準。
・支援手続き及び支援ツール。
(ISO/IEC 14598-6)
evaluation module
A.12
外部測定値
対象とするソフトウェア製品を含むシステムのふるまいを測定することから導かれるソフトウェア製品の間接測定値。
備考1.システムは,あらゆる関連あるハードウェア,ソフトウェア(注文ソフトウェア又は既製ソフトウェア)及び利用者を含む。
備考2.試験中に発見された故障の数は,対象プログラムを実行している計算機システムの運用時に数えられるので,プログラム中の障害の数の外部測定値である。
備考3.外部測定値は,設計の本来の目的により近い品質属性を評価するために使うことができる。
external measure
A.13
外部品質
製品が指定された条件下で使用された場合に,明示的及び暗示的必要性を満足させる程度。
external quality
A.14
故障
前もって指定された限界内で,要求された機能を遂行する品目の能力の停止,又は遂行の能力がなくなること(JIS X 0134:1999)。
failure
A.15
障害
計算機プログラム内の不正確なステップ、プロセス又はデータの定義。備考 この定義は,IEEE 610.12-1990から引用している。(★読点誤り★)
fault
A.16
ファームウェア
ハードウェア及びハードウェア上に読取り専用ソフトウェアとして組み込まれた計算機命令又はデータとの組合せ。このソフトウェアは,プログラム制御の下では変更することはできない(JIS X 0160:1996)。
firmware
A.17
暗示的必要性
対象の実体が特定の条件下で使われるとき,明示されていないが配慮すべき必要性。備考 暗示的必要性は,文書化されていないが,実際に必要となる事柄である。
implied needs
A.18
指標
他の測定値の見積り又は予測に使うことができる測定値。
備考1.予測された測定値は,同じ又は異なったソフトウェア品質特性に対するものでもよい。
備考2.指標は,ソフトウェア品質特性及び開発プロセスの属性を見積もるために使われてもよい。そのときには,属性に対する間接測定値である。
indicator
A.19
間接測定値
1つ以上の他の属性の測定値から導かれるある属性の測定値。備考 計算機システムの属性の外部測定値(例えば,利用者からの入力への応答時間のような)は,ソフトウェアの属性だけでなく,その実行環境の属性の影響を受けるであろうから,ソフトウェアの属性の間接測定値である。
indirect measure
A.20
リスク抑制の完全性水準
システムリスクを受入れ可能な範囲内に維持するために必要な品目がもつ性質の値の範囲(値域)を表わす表示記号,緩和機能を実行する品目の場合には,その性質は,当該品目が緩和機能を実行する際に満たさなければならない信頼度とする。自己の故障が危険な兆候をもたらす可能性のある品目の場合には,その性質は,その故障の発生の上限値とする(JIS X 0134:1999)。
integrity level
A.21
中間ソフトウェア製品
ソフトウェア開発プロセスのある段階の製品で,他の段階への入力として用いられる製品。備考 ある場合には,中間製品は,同時に,最終製品でもよい。
intermediate software product
A.22
内部測定値
製品それ自身の測定値で,直接又は間接のいずれでもよい。
備考 コード行数,複雑さの測定値,ウォークスルーで発見された障害の数及びフォグインデックス(Fog Index)は,すべて製品それ自身の内部測定値である。
internal measure
A.23
内部品質
特定の条件下で使用される場合に,明示的及び暗示的必要性を満たす製品の能力を決定する,製品の属性の全体。
備考1.“内部品質(internal quality)”という用語は,JIS X 0133群では,“外部品質(external quality)”と対比する意味で使われており,ISO 8402での“品質(quality)”と本質的に同じ意味をもっている。
備考2.“属性(attribute)”という用語は,4.21で使用されている“特性(characteristic)”と同じ意味で使われており,JIS X 0129群では,“特性(characteristic)”という用語は,より限定的な意味で使われる。
internal quality
A.24
測定する
測定を行う行為。
measure(動詞)
A.25
測定値
測定することによって,実体の属性に割り当てられた数又は分類。
measure(名詞)
A.26
測定
実体の属性に対して尺度から値(数又は分類でもよい)に割り当てるために,測定法を使う行為。備考 分類を使うことで,質的な測定を行える。例えば,プログラムの言語(Ada,C,COBOLなど)のようなソフトウェア製品の重要な属性は,質的な分類である。
measurement
A.27
測定法
定義された測定方法及び測定尺度。
備考1.測定法には,内部又は外部があり,かつ,直接的又は間接的であり得る。
備考2.測定法は,定性的なデータを分類するための方法を含む。
metric
A.28
既製品
既に開発が終わり,そのままで又は少し手を加えて使用できる状態にある製品。(JIS X 0160:1996)
off-the-shelf product
A.29
運用者
システムを運用する組織(JIS X 0160:1996)。
operator
A.30
品質
ある“もの”の明示された又は暗黙の必要性を満たす能力に関する特性の全体。(ISO 8402:1994)
備考1.契約下において,又は原子力安全性の分野のような法的規制の状況下においては,必要性は仕様化されるが,それ以外の場合には,暗黙の必要性を明確にし,定めることが望ましい(ISO 8402:1994備考1)。
備考2.JIS X 0133群の中での“もの”とは,ソフトウェア製品を示す。
(ISO 8402:1994)
quality
A.31
品質評価
ある“もの”が,規定要求事項を満たすことができる程度の体系的な審査(ISO 8402:1994)。備考 製品が契約の下で,特定の利用者向けに開発される場合には,要求事項は,正式に仕様化されるのがよい。製品が消費者向けソフトウェアのような不特定利用者向けの場合には,要求事項は,開発組織によって仕様化されるのがよい。比較及び選択を目的として利用者が製品を評価する場合には,要求事項は,より概括的であってもよい。
quality evaluation
A.32
利用時の品質
指定された利用者が仕様化された特定の仕方で製品を利用したとき,有効性,生産性及び満足度に関する仕様化された目標を達成することができる,ソフトウェア製品の能力。
備考1. 利用時の品質は,ソフトウェアを含んだ環境の利用者視点から見た品質であり,ソフトウェアそれ自身の特徴というよりは,その環境におけるソフトウェアの使用結果によって測定される。
備考2.現在,JIS X 0133群での利用時の品質の定義には,“安全性”という新しい特性は含まれておらず,指定された利用者が仕様化された特定の仕方で製品を利用したとき,仕様化された目的を達成するために,有効性,生産性及び満足度を伴い必要性を満たしている程度と定義されている。
備考3.ISO 9241-11における使用性(usability)は,この規格における利用時の品質の定義と類似している。利用時の品質は,あらゆる品質特性に影響を受けるかもしれないので,この規格では,理解性,習得性,運用性,注目性及び適合性からなるISO/IEC 9126-1の使用性の定義よりも,広範囲である。
(ISO/IEC 9126-1) (1)
注(1) 作成中である。この規格が発効するまで,JIS X 0129:1994を使うのがよい。
quality in use
A.33
品質モデル
品質要求及び品質評価の基礎を与えるような特性の集合及び特性間の関係。
quality model
A.34
評定
測定値を適切な評定水準に対応づける行為。評定は,対象ソフトウェアについて,特定の品質特性がどの評定水準に対応するかを決定するために行う。
rating
A.35
評定水準
測定尺度を分類するために使われる順序尺度上の点。
備考1.評定水準は,明示的又は暗示的必要性に基づき,ソフトウェアを分類(評定)することを可能にする。
備考2.適切な評定水準は,例えば,利用者,管理者,開発者のような異なる品質の視点に関係付けてもよい。
rating level
A.36
提案依頼書●見積依頼書
指定されたシステム,ソフトウェア製品又はソフトウェアサービスを取得するために,取得者が入札者に対しその意図を伝えるために用いる文書(JIS X 0160:1996)。
request for proposal●request for tender
A.37
尺度
定義された特徴をもつ値の集合。備考 尺度の種別の例を次に示す。
・分類の集合に対応する名義尺度。
・尺度上の点の順序に対応する順序尺度。
・等間隔の尺度上の点の順序に対応する間隔尺度。
・等間隔の尺度上の点だけでなく絶対値に対応する比率尺度。測定法は,定性的なデータを扱う場合には,名義尺度又は順序尺度を用い,定量的なデータを扱う場合には,間隔尺度又は比率尺度を用いる。
scale
A.38
ソフトウェア
情報処理システムに関する,プログラム,手続き,規則及び関連する文書の全体又は一部(JIS X 0001:1994)。備考 ソフトウェアは,記録媒体によらない知的な創造物である。
software
A.39
ソフトウェア製品
計算機プログラム,手続き並びにその関連する文書及びデータを含めたまとまり。備考 製品は,中間製品,開発者,保守者などの利用者向けに作成された製品を含む
(JIS X 0160:1996)。
software product
A.40
供給者
取得者と契約を交わし,その条項に基づいてシステムソフトウェア製品又はソフトウェアサービスを提供する組織。
備考1.“供給者”という言葉は,受注者,製作者,販売者又は納入者と同義である。
備考2.取得者は,自組織の一部を供給者として指定する場合がある。
(JIS X 0160:1996)
supplier
A.41
システム
一つ以上のプロセス,ハードウェア,ソフトウェア,設備及び人を統合して,規定のニーズ又は目的を満たす能力を提供するまとまり。(JIS X 0160:1996)。
system
A.42
利用者
特定の機能を遂行するために,ソフトウェア製品を使う個人。備考 利用者には,オペレータ,ソフトウェアの結果の受入者,ソフトウェアの開発者又は保守者を含めてもよい。
user
A.43
妥当性確認
定められた用途に対する特有の要求事項が満たされていることを,客観的証拠の調査及び提出によって確認すること。
備考1.設計及び開発において,妥当性確認は,使用者の必要性への適合性を確定するため,製品の検討のプロセスに関係する。
備考2.妥当性確認は通常,最終製品について規定の運用条件の下で実施される。これは,もっと早い段階で行うことが必要なこともある。
備考3.“妥当性確認済”という用語は,妥当性が確認された状態を示すために用いられる。
備考4.複数の異なった用途があるとき,複数の妥当性確認が実施されることがある。
(ISO 8402:1994)
validation
A.44
検証
規定要求事項が満たされていることを,客観的証拠の調査及び提出によって確認すること。
備考1.設計及び開発において,検証は,ある活動に対する規定要求事項への適合性を確定するため,その活動結果の検討のプロセスに関係する。
備考2.“検証済”という用語は,検証された状態を示すために用いられる。
(ISO 8402:1994)
verification
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