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JIS X 4155:1994
ハイパメディア及び時間依存情報の構造化言語(HyTime) 1994制定

番号 用語 定義 対応英語
3.1 端点 ハイパリンクで結合したオブジェクト又はオブジェクトの集合体。(備)1.“オブジェクト”という用語は,HyTimeの形式的構成子を示すものではない。端点は,文書,要素,データのまとまり(chunk)などであってよい。2.ハイパリンクがオブジェクトを端点であると特定したとき,オブジェクトを端点とする。3.同一のハイパリンク又は異なったハイパリンクの複数のリンク端が,オブジェクトを端点として特定する。 anchor
3.2 応用BOS 応用が自分自身の規則に従って決定した境界内オブジェクト集合(3.4参照)。(備)応用の規則は,引数集合からの自動決定,利用者による選択又はそれらの組合せを与える。応用は,初期状態としてHyTime BOS(3.20参照)の中の実体を利用可能であるが,利用者はHyTime BOSに実体を加えたり,HyTime BOSから実体を引いたりしてもよい。 application BOS
3.3 ビット組み ビットの順序付き集合。例えば,バイトは7ビット又は8ビットの組合せとなる。ビット組みは,文字データ又はマーク付けの中の1文字を表すが,非文字データ中の数値などを表してもよい。 bit combination
3.4 境界内オブジェクト集合 HyTime応用が処理する対象。例えば,一つ以上の文書及び他の情報オブジェクトの集合。(備)BOSは,HyTime BOS及び応用BOSの2種類とする。 bounded object set●BOS
3.5 区間 座標軸上の大きさ(size)及び位置(position)。次の3要素,すなわち,位置(最初の占有量子),量子数(占有量子の総数)及び最後の占有量子が,区間を構成する。 dimension
3.6 文書 人間が知覚することを意図した,一つの単位として特定できる情報の集合。 document
3.7 文書定義●文書型定義 SGMLを特定の型の文書のマーク付けに適用する,応用定義の規則。文書型定義は,要素型,要素の関係及び属性,並びにマーク付けで表現した参照の,文書型宣言の中で表示した形式的指定を含む。文書型定義は,その指定によって,SGMLが構文を規定するために必要なマーク付けの語法を定義する。(備)文書型定義は,要素の意味及び属性の意味を記述する注釈,並びにあらゆる応用規定を記述する注釈を含んでもよい(ISO 8879参照)。 document type definition●DTD
3.8 実体記述子 外部実体を表すSDIFデータ列の要素(ISO 9069参照)。 entity descriptor
3.9 実体木 実体を節とする木構造。次の段階からなる。(1)SGML文書実体又はSGML副文書実体を根の節に選ぶ。(2)その節のマーク宣言に含まれる外部識別子(3.12参照)が特定する外部実体の集合が,その節の子を構成する。子の節が,SGML文書実体又はSGML副文書実体であれば,次の段階で親の節となる。(3)木の葉に達するまで,又は指定の最大レベル数に達するまで,親の各節について段階(2)を繰り返す。(備)最大レベル数は,中核として使われるHyTime文書の属性とする。HyTime応用が呼び出されるときには,応用のレベル数を優先してもよい。 entity tree
3.10 事象 座標空間におけるオブジェクトの出現。事象が,オブジェクトを配置済み存在範囲(scheduled extent)と関連付ける。(備)事象の配置済み存在範囲は,オブジェクトに位置及び大きさを与える。つまり,すべての軸上の最初の量子の集合が位置を規定し,すべての軸上の量子数の集合が大きさを規定する。 event
3.11 事象投影 一つの座標空間からもう一つの座標空間への(“投影元”から“投影先”への),事象の配置済み存在範囲の変換。(備)その例が,音楽時間から実時間への変換,又は利用者装置座標から実空間単位への変換である。 event projection
3.12 外部識別子 外部の情報オブジェクトを特定する,SGMLマーク宣言(通常は,実体宣言)の引数。(備)次に例示する各種の方法で特定してもよい。(1)公式公開識別子:広域にわたって一意である公開識別子。システムに対して,テーブル参照によってそのオブジェクトをアクセス可能にする。(2)システム識別子:ファイル識別子,記憶の所在,プログラム呼出し,データ列の位置,又は記憶の中にオブジェクトを配置するシステム固有のその他の手段。 external identifier
3.13 中核文書 ハイパ文書へのアクセスを開始する文書。HyTimeハイパ文書の中では,中核文書は,交換,描出などの処理のためにHyTime BOSも規定する。(備)1.中核文書は,文書の不変な状態ではないから,属性によって指定することはできない。中核文書の指示は,処理の1引数であり,応用が呼び出される時に指定される。2.幾つかのHyTime文書が,中核文書として指示されたとき,同一HyTime BOSを規定することもある。 hub document
3.14 ハイパ文書 連結網(3.52参照)によって互いに結合された二つ以上の文書又は他の情報オブジェクト。(備)ハイパ文書へのアクセスは,指示された中核文書から始まる。 hyperdocument
3.15 ハイパリンク 二つ以上のオブジェクトの間の関係を表現する情報構造。(備)1.ハイパリンクが関係付けるオブジェクトを,そのハイパリンクの“端点”と呼ぶ。端点は,“リンク端(link end)”と呼ぶハイパリンクの特性が特定する。2.HyTimeを使う応用及び体系が,ハイパリンクにリンク型及びリンク名を割り当てる。3.SGML文書は,ハイパリンク以外の手段で関係を表現できる。例えば,文書階層の下位及び横並びの関係は,マーク付けに使うタグの位置が表現する。 hyperlink
3.16 ハイパメディア応用 ハイパテキスト及び/又はマルチメディア機能を含む情報処理応用。(備)1.この定義は,“ハイパメディア”がハイパテキストとマルチメディアとの共通部分ではなく,和集合を指すことを意味する。2.“ハイパテキスト”,“マルチメディア”及び“ハイパメディア”という用語を厳密に区別して用いることは不可能ではないが,この規格では,文書又は応用を参照する際に,厳密な区別を行うべき箇所はほとんどない。しかし,事象は,その性質がハイパリンク付きか否かに影響されないので,“ハイパメディア”ではなく“マルチメディア”として参照する。同様に,ハイパリンクを“ハイパテキスト”,“ハイパメディア”又は単なる“ハイパ”として,区別して特徴付けることはしない。ハイパリンクの性質は,ハイパリンク付けされるオブジェクトによって影響を受けないからである。 hypermedia application
3.17 ハイパメディア文書 ハイパメディア応用に用いる文書又はハイパ文書。(備)ハイパ文書は,ほとんどの場合ハイパメディア文書でもあり,ハイパメディア応用で普通に使われる。しかし,必ずしもすべてのハイパメディア文書がハイパ文書であるわけではない。ビデオクリップをもつがハイパリンクのない文書は,その例である。 hypermedia document
3.18 ハイパメディア及び時間依存情報の構造化言語 ハイパテキストのハイパリンク付け,時間的及び空間的な事象配置,並びに同期を表現するために標準化された,ハイパメディアの構造化言語。HyTimeは,基本的な特定機構及び番地付け機構を提供する。オブジェクトのデータ内容記法,リンク型,処理・表示機能などの応用の意味から,HyTimeは独立している。ハイパリンクは,HyTimeに適合する文書に対しても,適合しない文書に対しても,その文書が修正可能であるかどうかにかかわらずに,設定可能とする。すべてのHyTime機能が備わっていれば,“統合開放形ハイパメディア(IOH)”が利用可能になるが,システムは,必要な機能に限った部分機能集合に対応できるだけでよい。ここで統合開放形ハイパメディアは,ハイパリンク付けをいつでもどこにでも何に対しても可能にする,参照のための書誌モデルとする。 Hypermedia/Time-based Structuring Language●HyTime
3.19 HyTime属性 HyTime体系形式の中にその定義を含む要素の属性。 HyTime attribute
3.20 HyTime BOS 単一文書からなるか,又は文書及び情報オブジェクトを単一の実体木の節に記憶している一つのハイパ文書からなる境界内オブジェクトの集合。(備)HyTime BOSは,HyTime基本処理系によって自動的に決定可能である。その実体木の根は,中核文書のSGML文書実体である。 HyTime BOS
3.21 HyTime文書 この規格の定義に従って特性を基本表現したSGML文書。(備)HyTime文書は,適合HyTime文書であることが多い(12.1参照)。 HyTime document
3.22 HyTime要素 HyTime要素型のインスタンス。 HyTime element
3.23 HyTime要素型 HyTime体系形式に適合するHyTime文書の中の要素型。(備)要素型自体については,HyTimeは何も定義しない。要素型は,体系形式が定義する属性に加えて,応用固有の属性をもってもよい。 HyTime element type
3.24 HyTime基本処理系 文書中のHyTime構成子を見つけて,応用とは独立なその処理を実行するプログラム(又はプログラムの一部,又はプログラムの組合せ)。(備)例えば,HyTime基本処理系は,端点を確定・アクセスするために,データベース及びネットワークサーバと連携できる。事象が置かれた配置,又は事象の存在範囲を規定するための計測単位(measurement unit)とは独立に,座標空間に事象を矛盾なく位置付けるための計算も,HyTime基本処理系が実行可能である。 HyTime engine
3.25 HyTimeハイパ文書 中核文書がHyTime文書になっているハイパ文書。(備)中核文書は,SGMLで表現しなければならない。ハイパ文書の他の要素は,SGMLで表現する必要はない。中核文書又は他のすべての構成要素は,一つの文書体系に適合できる。 HyTime hyperdocument
3.26 HyTimeシステム HyTime基本処理系を含むSGMLシステム。 HyTime system
3.27 ハイパテキスト 複数の順序でアクセスできる情報。(備)ハイパテキストは,単一の文書であっても,文書のライブラリ(“ハイパ文書”)であってもよい。次に例を示す。(1)通常の小説は,ハイパテキストではない。(2)脚注又は内部の相互参照を含む本は,単一文書のハイパテキストである。(3)外部の相互参照(例えば,書誌情報の引用)をもつ本は,全体としてハイパ文書を構成するライブラリのメンバである。(4)内部と外部の相互参照をもつ本は,単一文書のハイパテキストであり,全体としてハイパ文書を構成するライブラリのメンバでもある。 hypertext
3.28 統合開放形ハイパメディア いつでもどこでも何にでもハイパリンク付けを可能にする参照を示す“書誌モデル(bibliographic model)”の,計算機処理のための形式的表現。 Integrated open hypermedia●IOH
3.29 リンク ハイパリンク又はSGML処理(“リンク処理”)のリンク。いずれを採用するかは,文脈による。 link
3.30 リンク端 所在によって端点を特定する,ハイパリンクの特性。(備)“所在(location)”という用語は,HyTimeの形式的構成子をいうものではない。つまり,リンク端は,名前,座標位置,又はどのような意味的構成子によっても,端点を位置付けできる. link end
3.31 リンク処理定義 SGMLを用いてリンク処理を記述する応用固有の規則。リンク処理定義は,リンク型宣言で表した,ソースと結果の要素間リンクの形式的指定を含み,リンク処理に適用可能なソース属性(“リンク属性”)の定義を含む。(備)リンク処理定義は,リンク属性の意味と処理に対する効果とを含むとともに,処理の意味を記述する注釈をも含み得る(ISO 8879参照)。 link process definition●LPD
3.32 リンク型 ハイパリンクのクラス。リンク型は,ハイパリンクが表現する関係に対して,端点が果たす役割を含め,意味を割り当てる。 link type
3.33 マルチメディア 画家,作曲家などが用いる表現形態(絵画,音楽など)のような,何かを伝達するための手段の複数使用(形容詞)。 multimedia
3.34 修飾●オブジェクト修飾 描出に際して,一つのオブジェクトがもう一つのオブジェクトに対して施す修飾。(備)1.例えば,効果箱を通る音響信号の経路選択。2.HyTimeは,修飾器の配置を扱うが,修飾の意味を扱うことはない。 object modification
3.35 つなぎ 修飾器とそれが修飾するオブジェクトとの相互接続。 patch
3.36 表示 人間による知覚が可能になった,文書の処理状態。 presentation
3.37 直前指定要素 直前に解析した文書のSGML表現における要素。(備)直前指定要素は,通常,SGML表現を文字列としてみなした場合,直前に出現した要素でもある。ただし,実体参照によって,他の要素をその実体参照よりもっと後で解析するようにできる。 previous specified element
3.38 投影 事象投影。 projection
3.39 量子 座標軸の,不可分で計数可能な最小分割。 quantum
3.40 実時間 秒,分,時間などで計測する,日常感覚での時間。 real time
3.41 描出 HyTime文書に対して,その表示準備のために実行する処理。応用固有の処理に加えて,HyTimeが定義する事象投影及びオブジェクト修飾を含む。(備)利用者が完全に知覚できる表示を生成するために,幾つかの描出を順次実行してもよい。描出には,新座標空間への事象の投影,例えば,仮想時間から実時間への変換があってもよい。 rendition
3.42 報告可能HyTime誤り この規格の要求に対する,HyTime文書の不適合。ただし,次を除く。(1)文書を処理することなしには検出できないもの。(2)この規格が報告不可能と認めているもの。 reportable HyTime error●RHE
3.43 存在範囲●配置済み存在範囲 座標空間における位置及び大きさ。空間の各軸上の区間からなる。 scheduled extent
3.44 SDIF封入器 SDIFデータ列を生成するプログラム(ISO 9069参照)。 SDIF packer
3.45 SDIF開封器 SDIFデータ列をその構成要素実体に分解するプログラム。(備)SDIF開封器は,必要であれば,マーク宣言の引数であるシステム識別子を修飾して,その環境での記憶番地との一貫性を保ってよい(ISO 9069参照)。 SDIF unpacker
3.46 SGML文書交換様式 幾つかの実体の中に記憶されている主文書及びその関連文書を結合して,個々の実体を受信者が再構成できるように,交換用の単一データ列にすることを可能にするデータ構造。(備)SDIFをHyTime用のハイパ文書交換様式として使う場合,複数の文書があれば,主文書は中核文書である(ISO 9069参照)。 SGML Document Interchange Format●SDIF
3.47 SGML処理リンク SGMLの“リンク処理”機能。これによって,表示指定及び処理指定の幾つもの文脈依存集合を,文書の要素と関係付けることを可能にする。 SGML processing link
3.48 SGML副文書実体 それ自体の文書型宣言及びリンク型宣言に適合するとともに,SGML文書実体のSGML宣言に適合するSGML実体。これは,少なくとも基本文書型宣言並びに基本文書要素の開始及び終了を含む(ISO 8879参照)。 SGML subdocument entity●SUBDOC
3.49 SMU名 記法宣言が宣言する名前であり,標準の計測単位を特定する。 SMU Name
3.50 検証HyTime基本処理系 報告可能HyTime誤りが,もしあれば,それを発見して報告できる適合HyTime基本処理系。 validating HyTime engine
3.51 連結網表示 連結網とそれが結合している端点との表示。 view
3.52 連結網 一緒に用いる一つ以上のハイパリンクの集合。(備)ハイパリンクは,通常一つの共通の話題を扱い,共通の端点及び/又は同一オブジェクト中に出現する端点を通して連続的にたどることができる。 web

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