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JIS X 7107:2005
地理情報―空間スキーマ
2005制定
番号
用語
定義
対応英語
4.1
応用
利用者の要求に応えるために行われるデータの操作及び処理(ISO 19101)。
application
4.2
応用スキーマ
一つ以上の応用システムによって要求されるデータのための概念スキーマ(ISO 19101)。
application schema
4.3
多重集合
繰返しのある,関連する項目(オブジェクト又は値)の,有限非順序な集まり。備考 論理的には,多重集合は,<項目,項数>の対の集合である。
bag
4.4
境界
実体の広がりの限界を示す集合。備考 境界が最もよく使用されるのは,集合が点の集まり又はこれらの点を表すオブジェクトの集まりであるような幾何に関する記述においてである。他の分野では,この用語を,実体とその論議領域での余事象との遷移領域を比ゆ(喩)的に記述するために使用する。
boundary
4.5
バッファ
指定された幾何オブジェクトから与えられた距離以内のすべての直接位置を含む幾何オブジェクト。
buffer
4.6
環状列
論理的な開始点をもたないために,それ自身のどのような循環的なシフトとも同一になり,結果として最後の項目が順列の最初の項目に先行するとみなされる列。
circular sequence
4.7
クラス
同じ属性,操作,メソッド,関係及び意味を共有するオブジェクトの集合の記述(ISO TS 19103(2))。
注(2) 未発行
備考 クラスは,その環境に対して提供する操作の集まりを規定するために,インタフェースの集合を使用してもよい。この用語は,最初にオブジェクト指向プログラミングの一般的な理論の中でこの用法で使用され,後にUMLにおいても同じ意味で使用するものとして採用された。
class
4.8
閉包
位相オブジェクト又は幾何オブジェクトの内部と境界との和集合。
closure
4.9
双対境界
ある位相オブジェクトに対応して,その位相オブジェクトを境界としてもつ,より高い位相次元の位相プリミティブの集合。備考 ノードがエッジの境界に存在する場合,このエッジは,そのノードの双対境界上にある。この二つの関係のいずれか一つに関連付けられた任意の方向パラメタは,もう一方の関係に対しても関連付けられる。これは,ノードがエッジの終点ノードである(正の有向エッジの終端として定義される)場合,そのノードの正の方向(正の有向ノードとして定義される)が双対境界上にエッジをもつようにするためである(図35参照)。
coboundary
4.10
合成曲線
列の各曲線が(最初のものを除き)直前の曲線の終点から開始するような曲線の列。備考 合成曲線は,直接位置の集合として,曲線のすべての性質をもつ。
composite curve
4.11
合成立体
共有された境界曲面に沿って互いに隣接する立体の連結した集合。備考 合成立体は,直接位置の集合として,立体のすべての性質をもつ。
composite solid
4.12
合成曲面
共有された境界曲線に沿って互いに隣接する曲面の連結な集合。備考 合成曲面は,直接位置の集合として,曲面のすべての性質をもつ。
composite surface
4.13
計算幾何
幾何演算を実装するための,幾何表現に関する操作及び計算。例 計算幾何演算は,幾何包含若しくは交差の試験,凸包若しくはバッファ領域の計算又は幾何オブジェクト間の最短経路探索を含む。
computational geometry
4.14
計算位相幾何
通常,計算幾何において実行される位相オブジェクトの演算の支援,拡張又は定義を行う位相的な概念,構造及び代数。
computational topology
4.15
連結
オブジェクトの任意の二つの直接位置がそのオブジェクト内に完全に含まれる曲線上に配置できることを意味する幾何オブジェクトの性質。備考 位相オブジェクトは,幾何実現が連結である場合にだけ,連結である。これは,位相幾何学の定理から導かれるので,定義には含まない。
connected
4.16
連結ノード
一つ以上のエッジが開始又は終了するノード。
connected node
4.17
凸包
与えられた幾何オブジェクトを含む最小の凸集合[Dictionary of Computing (7)]。備考 “最小”とは集合論的に最小のことであり,計量的な意味をもつものではない。この定義は“その幾何オブジェクトを含むすべての凸集合の積集合”と言い換えることもできる。
convex hull
4.18
凸集合
自分自身が含む任意の二つの直接位置について,それらを結ぶ直線分上の任意の直接位置をも含むような幾何集合[Dictionary of Computing (7)]。備考 凸集合は,“単連結”である。すなわち内部に穴をもたない。通常は,適切な次元のユークリッド球と位相同形とみなしてよい。また,球の表面は,測地的には測地線を直線とみなせば凸と考えることができる。
convex set
4.19
座標
n次元空間内の点の位置を示すn個の数値の列(JIS X 7111)。備考 座標参照系では,それらの数値には単位を付与しなければならない。
coordinate
4.20
座標次元
ある座標系における位置を記述するために必要な計測値又は座標軸の数。
coordinate dimension
4.21
座標参照系
原子(datum)によって地球に関連付けられた座標系(JIS X 7111)。
coordinate reference system
4.22
座標系
点にどのように座標を割り当てるかを規定するための数学的規則の集合(JIS X 7111)。
coordinate system
4.23
曲線
直線の連続な像を表現する一次元の幾何プリミティブ。備考 曲線の境界は,その両端の点の集合である。曲線が閉路の場合,二つの端は同一であり,その曲線は(位相的に閉じている場合には),境界をもたないとみなす。最初の点を始点,最後のものを終点と呼ぷ。“直線の連続的な像”という定義文の語句によって,曲線の連結性が保証される。位相幾何学の定理は,連結している集合の連続的な像は連結であることを規定している。
curve
4.24
曲線分
一定の内挿及び定義の方法を用いて曲線の連続した部分を表現するために用いる一次元の幾何オブジェクト。備考 単一の曲線分によって表現される幾何集合は,一つの曲線と等しい。
curve segment
4.25
輪体
境界をもたない空間オブジェクト。備考 輪体は境界の構成要素[殻(shell)及び輪(ring)を参照]を記述するために使用する。輪体は,それ自身の上で閉じているため境界をもたないが,有界である(すなわち,範囲は無限ではない)。例えば,円周又は球面は,境界をもたないが有界である。
cycle
4.26
直接位置
座標参照系の中で一つの座標によって記述された位置。
direct position
4.27
有向エッジ
エッジとその向きの一つとの間の関連を表す有向位相オブジェクト。備考 有向エッジは,そのエッジと向きが一致しているものは+という向きを,そうでなければ−という向きをもつとする。有向エッジは,位相幾何においては同一のエッジの右側(−)と左側(+)とを区別する場合,同一のエッジの始点ノード(−)と終点ノード(+)とを区別するために,そして計算位相幾何においてはこれらの概念を表現するために用いる。
directed edge
4.28
有向フェイス
フェイスとその向きの一つとの間の関連を表す有向位相オブジェクト。備考 有向フェイスの外部境界を構成する有向エッジの向きは,この有向フェイスの正の側からみて,正の向きが決まる。位相立体の境界を示す有向フェイスの向きは,この位相立体から離れる方向を指す。隣接する位相立体では,それらが共有する境界には異なる向きを付けることになるが,これは,隣接するフェイスとそれらが共有するエッジとの間の同種の関連と整合している。有向フェイスは,双対境界関係においてフェイスとエッジとの間の空間的な関係を保持するために用いる。
directed face
4.29
有向ノード
ノードとその向きの一つとの間の関連を表す有向位相オブジェクト。備考 有向ノードは,双対境界関係においてエッジとノードとの間の空間的な関連を保持するために用いる。一つのエッジに関するノードの向きは,そのエッジの終点ノードでは“+”,始点ノードでは“−”になる。これは,“ベクトル=終点−始点”というベクトルの概念と整合している。
directed node
4.30
有向位相立体
位相立体とその向きの一つとの間の関連を表す有向位相オブジェクト。備考 有向位相立体は,双対境界関係においてフェイスと位相立体との間の空間的な関係を保持するために用いる。一つのフェイスに関する位相立体の向きは,そのフェイスの上方法線が位相立体の外側へ向く場合には“+”,内側に向く場合は“−”である。これは,立体の境界となる曲面に対して“上方=外側”という概念と整合する。
directed solid
4.31
有向位相オプジェクト
位相プリミティブとその向きの一つとの間の論理的な関連を表す位相オブジェクト。
directed topological object
4.32
領域●定義域
明確に定義された集合(ISO TS 19103)。備考 領域は,演算子及び関数の定義域と値域とを定義するのに用いる。
domain
4.33
エッジ
一次元の位相プリミティブ。備考 エッジの幾何実現は曲線である。エッジの境界は,位相複体の中でこのエッジと関連付けられた一つ又は二つのノードの集合である。
edge
4.34
エッジノードグラフ
ある位相複体内に埋め込まれているグラフで,その複体内のすぺてのエッジとそれに連結したノードからなるもの。備考 エッジノードグラフは,それが埋め込まれている複体の部分複体である。
edge-node graph
4.35
終点ノード
エッジを含む位相複体の有効な幾何実現において,そのエッジを実現する曲線の終点に対応する,このエッジの境界のノード。
end node
4.36
終点
曲線の最後の点。
end point
4.37
外部
全体集合とある集合の閉包との差集合。備考 外部の概念は,位相複体及び幾何複体の両方に適用できる。
exterior
4.38
フェイス
二次元の位相プリミティブ。備考 フェイスの幾何実現は曲面である。フェイスの境界は,境界関係をとおしてフェイスに関連付けられる同じ位相複体内の有向エッジの集合である。これらは,輪の形に揃えることができる。
face
4.39
地物
実世界の現象の抽象概念(ISO 19101)。
備考 地物は,型又はインスタンスとして現れる。型又はインスタンスの一方だけを意味するときには,地物型又は地物インスタンスという用語を使うことが望ましい。
参考 地物は元来地上の自然物及び人工物の概念を指す用語であるが,この規格では,それ以外の実世界に現れる物事を抽象化した概念も指す。
feature
4.40
地物属性
地物の特性(ISO 19101)。備考 地物属性は,それに関連付けられた名前,データ型及び値の定義域をもつ。地物インスタンスの地物属性は,加えてその定義域から選ばれた属性値をもつ。
feature attribute
4.41
関数
ある領域[この関数の定義域(source,domain)]の各要素を,別の領域[この関数の値域(target,co-domain,range)]の一意な要素に関連付ける規則。
function
4.42
地理情報
地球に関係した場所と暗示的又は明示的に関連付けられた現象に関する情報。
geographic information
4.43
幾何集成
内部構造をもたない幾何オブジェクトの集まり。
備考 要素間の空間関係に関する推定は,行えない。
参考 UMLにおけるaggregateには,“縮める”という概念は含まず,“集めて一つにまとめる”という意味なので,ここでは集約ではなく集成とする。
geometric aggregate
4.44
幾何境界
幾何オブジェクトの範囲を限定する,より低い幾何次元の幾何プリミティプの集合によって表現される境界。
geometric boundary
4.45
幾何複体
互いに素な幾何プリミティブの集合で,各幾何プリミティブの境界を,その集合の中の,より低い次元の幾何プリミティブの和集合として表すことができるようなもの。備考 集合の中の幾何プリミティブは,複数の幾何プリミティブの内部に存在するような直接位置がないという意味で互いに素である。集合は,境界演算のもとで閉じているが,これは,幾何複体の各要素について,その要素の境界を表す幾何プリミティブの集まり(これも幾何複体となる。)が存在することを意味する。既に述べたように,点(幾何の唯一の零次元プリミティブオブジェクト型)の境界は空集合である。したがって,最も高い次元の幾何プリミティプが立体(三次元)の場合,この定義の境界演算を次々と適用していくと,高々3ステップ後には終結する。また,任意のオブジェクトの境界は輪体となる。
geometric complex
4.46
幾何次元
幾何集合の中のどの直接位置も,その直接位置を内部に含みn次元ユークリッド空間R^nと相似(同形)な部分集合と関連付けることができるような数nの最大値。備考 曲線は,実数直線の一部の連続写像であるので,1の幾何次元をもつ。曲面は,その全体をR^2に写像することはできないが,各点位置の周りには微小な近傍があってそれがR^2の単位円の内部に(連続関数によって)写像されることがわかることから,二次元である。この規格では,主要な曲面分(GM_SurfacePatchのインスタンス)のほとんどは,それを定義する内挿の方法によってR^2の一部に写像される。
geometric dimension
4.47
幾何オブジェクト
幾何集合を表す空間オブジェクト。備考 幾何オブジェクトは,幾何プリミティブ,幾何プリミティブの集まり又は単一の実体として扱われる幾何複体からなる。幾何オブジェクトは,地物又は地物の重要な部分の空間表現に用いてよい。
geometric object
4.48
幾何プリミティブ
単一の連結で均質な空間の要素を表す幾何オブジェクト。備考 幾何プリミティブは,幾何構成についての情報を表す不可分なオブジェクトである。点,曲線,曲面及び立体は幾何プリミティブである。
geometric primitive
4.49
幾何実現
位相複体の位相プリミティブに一対一対応した幾何プリミティブをもつ幾何複体。その二つの複体の境界関係は一致する。備考 この実現では,位相プリミティブは,対応する幾何プリミティブの内部を表現するものとみなす。合成したものは閉じている。
geometric realization
4.50
幾何集合
直接位置の集合。備考 この集合は,ほとんどの場合無限集合である。
geometric set
4.51
グラフ
一部がエッジによって結合されているノードの集合。備考 地理情報システムでは,グラフは,二つのノードに結合するエッジを複数もつことができ,同じノードを両端にもつエッジをもつこともできる。
graph
4.52
準同形
一方から他方への構造を保存する関数をもつ二つの領域(二つの複体のような)の間の関係。備考 準同形は逆関数を必要としない点で同形と異なる。同形には,本質的には互いに逆関数の関係にあたる二つの準同形がある。連続関数は.“位相的な特性”を保存するので位相準同形である。位相複体の幾何実現への写像は,境界の概念を保存する。したがって,一つの準同形である。
homomorphism
4.53
インスタンス
クラスを実現するオブジェクト。
instance
4.54
内部
幾何オブジェクト上にありその境界上にはないすべての直接位置の集合。備考 位相オブジェクトの内部は,その任意の幾何実現の内部の準同形の像である,これは,位相幾何学の定理から導かれるので,ここでの定義には含めない。
interior
4.55
孤立ノード
どのエッジとも関係しないノード。
isolated node
4.56
同形
二つの領域の一方から他方への一対一で構造を保存する関数が存在して,それら二つの関数をどの順序で合成しても恒等関数に一致するような,二つの領域(二つの複体のような)の間の関係。備考 要素が一対一に対応し,その対応で次元及び境界が保存される場合,幾何複体は,位相複体に同形である。
isomorphism
4.57
近傍
指定された直接位置を内部に含み,その直接位置から指定された距離以内のすべぺての直接位置を含む幾何集合。
neighbourhood
4.58
ノード
零次元の位相プリミティブ。備考 ノードの境界は,空集合である。
node
4.59
オブジェクト
状態と振る舞いとをカプセル化した,明確に定義された境界及び識別をもつ実体(UML Semantics [19])。備考 この用語は,最初にオブジェクト指向プログラミングの一般理論の中でこの用法で使用され,後にUMLの中で同じ意味で使用するものとして採用された。オブジェクトはクラスのインスタンスである。属性と関係とが状態を表す。操作,メソッド及び状態機構は,振る舞いを表す。
object
4.60
平面位相複体
二次元ユークリッド空間に埋め込むことができる幾何実現をもつ位相複体。
planar topological complex
4.61
点
位置を表現する零次元の幾何プリミティブ。備考 点の境界は,空集合である。
point
4.62
レコード
有限の,名前をもつ,相互に関連性のある項目(オブジェクト又は値)の集まり。備考 論理的に,レコードは<名称,項目>の対の集合となる。
record
4.63
輪
輪体である単純曲線。備考 輪は二次元及び三次元座標系における曲面の境界の要素を記述するために用いる。
ring
4.64
列
繰返しを許した,関連する項目(オブジェクト又は値)の,有限で順序をもつ集まり。備考 論理的には,列は<項目,相対位置>の対の集合である。この規格では,括弧で列を区切り,列の要素をコンマで分けるLISP構文を用いる。
sequence
4.65
集合
繰返しを許さない,関連する項目(オブジェクト又は値)の,有限で順序をもたない集まり。
set
4.66
殻
輪体である単純曲面。備考 殻は,三次元座標系における立体の境界の要素を記述するために用いる。(★読みは「こく」でよいか★)
shell
4.67
単純
内部が等方的(すべての点が同形な近傍をもつ。)で,したがって,至るところ適切な次元のユークリッド座標空間の開部分集合に局所的に同形である,という幾何オブジェクトの特性。備考 これは,内部の直接位置がいかなる種類の自己交差にも関与しないことを意味する。
simple
4.68
立体
三次元ユークリッド空間のある領域の連続な像を表す三次元の幾何プリミティブ。備考 立体は,直接位置の三つのパラメタをもつ集合によって局所的に実現することができる。立体の境界は,その立体の限界を包含する,向きをもつ閉曲面の集合である。
solid
4.69
空間オブジェクト
地物の空間特性を表現するために用いるオブジェクト。
spatial object
4.70
空間演算子
その定義域又は値域に最低一つの空間パラメタをもつ関数又は手続。備考 空間オブジェクトに対するすべてのUML操作は,この規格の8.の問合せ演算子もそうであるように,空間演算子として分類することができる。
spatial operator
4.71
始点ノード