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JIS X 7301:2010
グリッドシステム要求事項策定のための指針
2010制定
番号
用語
定義
対応英語
2.1
グリッドシステム
コンピュータ,ストレージ及びネットワークといった資源の物理的位置やハードウェアを意識することなく,必要な資源を必要な時に必要なだけ利用可能なシステムであり,異機種及び/又は地理的に分散した,複数のコンピュータ資源を仮想化技術を用いて統合したシステム。注記 提供物が,グリッドシステムと一致する場合もあれば,グリッドシステムの一部に該当する場合もある。すなわら,複数の提供者が提供する複数の提供物が組み合わされて一つのグリッドシステムが構成されている場合がある。
grid system
2.2
提供物
提供者が,利用者に便宜を与えるために提供するシステム。注記 2.1(グリッドシステム)の注記を参照。
service
2.3
提供者
グリッドシステムの全部又は一部を提供物として提供する人。注記 提供者はシステムの運用者を含む。複数の提供物から構成されるグリッドシステムには,複数の提供者が存在する。
supplier
2.4
利用者
提供者が提供する提供物を利用する人又はシステム。注記 利用者は,人だけでなく,システムの一部が含まれる場合がある。提供物が第四層(アプリケーション層,図1参照)にまで至っておらず,その上に追加した層の構成要素が提供物に直接アクセスする可能性があることを指している。また,利用者は,単一組織内のメンバにとどまらず,複数の組織であっても仮想組織を組んでいることによって,同一の利用者として扱うことができる。
user
2.5
アクセス
利用者が自身の権限に従って,提供物を直接利用する操作。
例1 コンピューティング資源へのジョブの投入。
例2 データベース資源へのレコードの書込み。
access
2.6
ネゴシエーション
利用者の権限では取得できない情報の参照,設定の変更など,利用者が自身の権限によっては実施できない処理を,提供者に依頼することによって間接的に提供物を利用する操作。
例1 コンピューティング資源へ投入するジョブの優先度の変更。
例2 投入したジョブ及び/又はデータベースへのアクセスの履歴情報の取得。
negotiation
2.7
コントロール
提供者が提供物を管理・運用するための操作。
例1 利用者ごとの資源の割当て及び優先度設定。
例2 資源への利用者アクセス権限の設定。
control
2.8
サービス能力
提供物が示す能力に関する項目。
注記 利用者が要求,又は提供者が用意する,提供物の内容はサービス能力を示すものであり,利用ポリシ及び運用ポリシもサービス能力の範囲である。
例1 第一層(物理環境層,図1参照)の場合,CPUの性能,数,メモリ容量,ストレージ容量,ネットワークバンド幅など。
例2 第四層(アプリケーション層,図1参照)の場合,アプリケーションの内容,アプリケーションの性能など。
例3 ジョブの優先順位を設定できる利用ポリシ。
例4 資源の割当て方法を規定する運用ポリシ。
service capability
2.9
サポート
利用者が提供物を利用するに当たって提供者が支援することに関する項目。
注記 アクセスの項目には,サポートに関する要件は含まれない。それらは,ネゴシエーションの中に現れることとなる。
例1 提供物の状態の利用者への通知。
例2 SLAの達成度を確認できる情報の提供。
例3 利用状況に応じた提供物の動的な変更。
support
2.10
機密性
情報そのものを,又は情報を処理し格納する情報システムを,認可されていない利用者に対して,使用不可又は非公開にする特性。
confidentiality
2.11
完全性
情報そのもの,又は情報を処理し格納する情報システムの,正確さ及び完全さを保護する特性。
integrity
2.12
可用性
認可された利用者が要求したときに,情報そのもの,又は情報を処理し格納する情報システムに対して,アクセス及び使用が可能である特性。
availability
2.13
資源
提供物の構成要素。
resource
2.14
サービスレベル合意書
書面にした提供者と利用者との合意書であって,サービス及び合意したサービスレベルを記述したもの。注記 この規格において“SLA”は,JIS Q 20000-1の用語“サービスレベル合意書”の定義“書面にしたサービス提供者と顧客との合意であって,サービス及び合意したサービスレベルを記述したもの”を,“サービス提供者”を“提供者”に,“顧客”を“利用者”に読み替えて引用したものである。
SLA●Service Level Agreement
2.15
運用ポリシ
提供者が,事前に提供物の割当て方法,及びアクセス制限を規定した内容。
注記1 提供物の割当て方法は,負荷分散,利用者ごとの優先処理,アクセスごとの優先処理,及び提供物の共同利用者に影響を与えないデータの共有を目的として利用される。
注記2 アクセス制限としては,ディレクトリのアクセス権限,ジョブキューイングシステムの処理状況の参照可能者,及びログの参照可能者を制限することがある。
2.16
利用ポリシ
利用者が,事前に提供物の割当て方法を要求する内容。利用者と提供者とが,事前に提供物の割当て方法を合意した内容。例 利用者が実施する複数のアクセス間での優先度付け。
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