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JIS X 8341-3:2010
高齢者・障害者等配慮設計指針―情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス―第3部:ウェブコンテンツ
2010制定
番号
用語
定義
対応英語
3.1.1
ウェブコンテンツ
ユーザエージェントによって利用者に伝達される情報及び感覚的な体験。コンテンツの構造,表現及びインタラクションを定義するソースコード及びマークアップを含む。
Web content
3.1.2
ウェブコンテンツ技術
ユーザエージェントがどのようにレンダリング,再生又は実行するかを符号化するメカニズム。
注記1 この規格で“技術”と書いてある場合でも,ウェブコンテンツ技術を指している場合がある。
注記2 ウェブコンテンツ技術には,マークアップ言語,データ形式,プログラム言語などがあり,これらをコンテンツ制作者が単独で用いたり組み合わせて用いたりすることによって,静的なウェブページ,及び同期したメディアによるプレゼンテーション,さらには動的なウェブアプリケーションに至るまでの様々なエンドユーザ体験を作ることができる。
例 ウェブコンテンツ技術のよくある事例としては,HTML,CSS,SVG,PNG,PDF,JavaScriptがある。
Web content technology
3.1.3
ウェブページ
単一のURIからHTTPで得たリソース(埋め込まれていないリソース)と,ユーザエージェントがこのリソースと一緒にレンダリングすることを意図したりレンダリングに用いたりするその他のリソース(埋め込まれているリソース)とを合わせたもの。
注記1 どのようなその他のリソース(埋め込まれているリソース)も主たるリソース(埋め込まれていないリソース)と一緒にレンダリングされるであろうが,これらのリソースが同時にレンダリングされる必要があるわけではない。
注記2 ウェブページという用語は,静的なHTMLページだけでなく動的なHTMLページなど様々なものを含んでいる。
例1 HTMLファイル及びimg要素で参照された画像ファイル。この場合,HTMLファイルが埋め込まれていないリソースに当たり,画像ファイルが埋め込まれたリソースに当たる。
例2 Ajaxを用いたウェブメールのプログラム。そのプログラムは“http://example.com/mail”に存在しており,受信箱,アドレス帳及びカレンダがある。受信箱,アドレス帳及びカレンダを起動するリンク又はボタンがあるが,ウェブページ全体のURIは変わらないもの。
例3 カスタマイズ可能なポータルサイトで,利用者が様々なコンテンツのモジュール一式から表示させるコンテンツを選択できるようなもの。
例4 ブラウザで“http://shopping.example.com/”へ行くと,インタラクティブなショッピング環境になる。そこでは,視覚的に店内を移動して,店内の棚から商品をドラッグして,目の前にある視覚的な買物カゴに商品を入れる。商品をクリックすると,同時に仕様書が浮き上がるように表示される。これは1ページだけのウェブサイトかもしれないし,ウェブサイトの中のほんの1ページなのかもしれない。
Web page
3.1.4
ウェブページ一式
共通の目的を共有し,同じコンテンツ制作者,グループ又は組織によって制作されたウェブページの集合。
注記1 異なる言語で書かれたウェブページは,異なるウェブページ一式とみなされることもある。
注記2 ウェブページー式には,ウェブサイトも含まれる。
set of Web pages
3.2.1
テキスト
プログラムが解釈可能な文字の連続で,自然言語で何かを表現しているもの。
text
3.2.2
非テキストコンテンツ
プログラムが解釈可能な文字の並びではないコンテンツ,又は文字の並びが自然言語においては何をも表現していないコンテンツ。注記 これには,ASCIIアート,顔文字,文字を表現している画像なども含まれる。ASCIIアートとは,文字又は記号の空間的配置による図画である。
non-text content
3.2.3
代替テキスト
非テキストコンテンツとプログラムで関連付けられているテキスト,又は非テキストコンテンツとプログラムで関連付けられているテキストから参照されるテキスト。プログラムで関連付けられたテキストとは,そのテキストの場所を,非テキストコンテンツからプログラムが解釈可能なテキストである。
text alternative
3.2.4
CAPTCHA
“Completely Automated Public Turing test to tell Computers and Humans Apart”(コンピュータと人間とを判別する完全自動化されたチューリングテスト)の頭文字語。注記 CAPTCHAのテストは,わざと不明りょう(瞭)にした画像又は音声ファイルによって提示されるテキストを,利用者に入力するように求めることが多い。
CAPTCHA
3.2.5
識別名
ソフトウェアがこれを用いて,ウェブコンテンツのコンポーネントを利用者に識別させることができるテキスト。
注記1 識別名は隠されていて,支援技術に対してだけ明らかにされる場合もあるが,ラベルはすべての利用者に提示される。多くの場合,ラベルと識別名とは同じである。
注記2 HTMLのname属性とは関係がない。
name
3.2.6
ラベル
ウェブコンテンツ内のコンポーネントを識別するために,利用者に提示されているテキスト又は代替テキスト付きのコンポーネント。
注記1 ラベルは,すべての利用者に提示される。しかし,識別名は隠されていて支援技術に対してだけ明らかにされる場合がある。多くの場合,識別名とラベルとは同じである。
注記2 HTMLにおけるlabel要素だけに限定されない。
label
3.2.7
リンクの目的
ハイパリンクに対して,マウスによるクリックなどの操作を行った結果として得られる本質。
link purpose
3.2.8
一般的にみて利用者にとってあいまい(曖昧)
リンク及びリンクと同時に利用者に提供されているウェブページのすぺての情報から,そのリンクの目的が断定できない(すなわち,障害のない利用者でも,そのリンクに対する操作を行うまで,そのリンクに対する操作結果が分からない。)。例 “注目すべき輸出品はグァバです。”という文中にあるグァバという単語がリンクである場合,そのリンクは,グァバの定義,輸出されているグァバの量を挙げる図表,又はグァバを収穫している人々の写真ヘリンクされているかもしれない。この場合,リンクの目的は,そのリンクを選択するまですべての利用者が分からず,障害のある利用者だけが不利な立場にはならない。
ambiguous to users in general
3.3.1
同期したメディア
情報を提示するために他のフォーマットと同期した音声若しくは映像,又は時間の経過に伴って変化するインタラクティブな構成要素と同期した音声若しくは映像。ただし,そのメディアがテキストの代替メディアであって,代替メディアであることが明確にラベル付けされているものは除く。
synchronized media
3.3.2
時間の経過に伴って変化するメディアに対する代替コンテンツ
正しい順序で提供されている,時間の経過に伴って変化する視覚的及び聴覚的情報のテキストによる説明(トランスクリプト)を含み,時間の経過に伴って変化する情報のやりとりの結果を得る手段を提供する文書。注記 同期したメディアのコンテンツを作るために用いられる脚本は,編集が終了した最終版の同期したメディアを正確に描写した脚本に修正されている場合にだけ,この定義を満たす。
alternative for time-based media
3.3.3
キャプション
そのメディアのコンテンツを理解するのに必要な,会話及び会話でない音声情報の両方に対する,同期した視覚的表現又は代替テキスト。注記 キャプションは発話だけの字幕と似ているが,次の点において異なる。すなわち,キャプションは,発話コンテンツだけでなく,その番組の内容を理解するために必要となる,発話ではない音声情報と等価な内容も伝える。つまり,効果音,音楽,笑い声,話者の特定,位置なども含まれる。
caption
3.3.4
音声
人間の声及びそれ以外の音。
audio
3.3.5
音声ガイド
主音声のトラックだけでは理解できない重要で視覚的な詳細を説明するために,音声トラックに追加されたナレーション。
注記1 映像の音声ガイドは,動作及びしぐさ,登場人物,場面の変化,画面上のテキスト並びにその他の視覚的なコンテンツに関する情報を提供する。
注記2 標準的な音声ガイドでは,ナレーションが会話の合間に挿入される。
注記3 すべての映像の情報が既存の音声で最初から提供されている場合,補足の音声ガイドは不要である。
audio description
3.3.6
テキストの代替メディア
テキストで(直接又は代替テキストによって)既に提示されている情報以上のものを提示していないメディア。注記 テキストの代替メディアは,テキストの代替プレゼンテーションの恩恵を受ける人たちのために提供される。テキストの代替メディアになり得るのは,音声しか含まないメディア,映像しか含まない(手話の映像を含む。)メディア,又は音声付き映像メディアである。
media alternative to text
3.4.1
ユーザインタフェースコンポーネント
特定の機能を果たすための単一のコントロールとして利用者が知覚する,コンテンツの一部分。
注記1 複数のユーザインタフェースコンポーネントが,単一のプログラムで実装されることがある。ここでいうコンポーネントは,プログラムに関するものではなく,別々のコントロールとして利用者が知覚するものを指す。
注記2 ユーザインタフェースコンポーネントには,スクリプトで生成されるコンポーネント,フォーム要素及びリンクが含まれる。
user interface component
3.4.2
キーボードインタフェース
キーストローク入力を取得するためにソフトウェアが用いるインタフェース。
注記1 キーボードが元々存在しない技術であっても,キーボードインタフェースによって,キーストローク入力をプログラムに提供することができる。
注記2 マウスキーのようなキーボード操作によるマウスエミュレータによるアプリケーション(又はそのアプリケーションの一部)の操作は,キーボードインタフェースからの操作とはみなさない。なぜならば,この場合,プログラムの操作は,キーボードインタフェースからではなく,そのポインティングデバイスインタフェースからの入力によって行われるからである。
keyboard interface
3.4.3
リアルタイムのイベント
閲覧と同時に発生し,コンテンツだけで生成されるものではないイベント。
例1 ライブパフォーマンスのウェブ放送(閲覧と同時に発生していて,収録済みではない。)。
例2 利用者が入札するオンラインのオークション(閲覧と同時に発生している。)。
例3 アバターを用いたバーチャルな世界での互いのやりとり(コンテンツによって完全に生成されるものではなく,閲覧と同時に発生する。)。
real-time event
3.4.4
状況の変化
ウェブページのコンテンツにおける大きな変化で,利用者が気づかないと,ページ全体を一度に見ることのできない利用者をまごつかせてしまうおそれのあるもの。状況の変化には次に挙げるものの変化が含まれる。
− ユーザエージェント
− ビューポート
− フォーカス
− ウェブページの意味を変えるコンテンツ
注記 コンテンツの変化が,必ず状況の変化になるとは限らない。アウトライン表示の展開,動的なメニューなどのコンテンツの変化は,それが上記のいずれか(例:フォーカス)を変更しない限り,状況を変化させるとは限らない。
例 新しいウィンドウを開くこと,フォーカスを異なる要素へ移動させること,新しいウェブページへ移動すること(新しいウェブページへ移動したかのように思わせてしまうことも含む。),ウェブページの内容を大きく再配置することなどは,状況の変化の事例である。
changes of context
3.5.1
相対輝度
色空間内のすべての点の相対的な明るさ。最も暗い黒を0とし,最も明るい白を1とする。
注記1 sRGB色空間においては,色の相対輝度Lは,
L=0.212 6×R+0.715 2×G+0.072 2×B
と定義されている。
ここに,R,G及びBは,
R_sRGB≦0.039 28の場合,R=R_sRGB/12.92
R_sRGB>0.039 28の場合,R=((R_sRGB+0.055)/1.055)^2.4
G_sRGB≦0.039 28の場合,G=G_sRGB/12.92
G_sRGB>0.039 28の場合,G=((G_sRGB+0.055)/1.055)^2.4
B_sRGB≦0.039 28の場合,B=B_sRGB/12.92
B_sRGB>0.039 28の場合,B=((B_sRGB+0.055)/1.055)^2.4
また,
R_sRGB=R_8bit/255
G_sRGB=G_8bit/255
B_sRGB=B_8bit/255
計算式は,参考文献[1]及び[2]を参考にしている。
注記2 ウェブコンテンツを閲覧するのに今日用いられているほとんどすべてのシステムは,sRGBエンコーディングを前提としている。コンテンツを処理して表示するときに他の色空間が用いられているのでなければ,コンテンツ制作者はsRGB色空間を用いて検証する。その他の色空間を用いる場合には,Understanding WCAG 2.0のUnderstanding Success Criterion 1.4.3 (http://www.w3.org/TR/UNDERSTANDING-WCAG20/visual-audio-contrast-contrast.html)を参照するとよい。
注記3 画像データをユーザエージェント(ウェブブラウザ)が受け取った後にディザリングが行われる場合には,ディザリングする前の元の色の値を用いる。発生源でディザリングしている色については,用いられている色の平均値を使用する(Rの平均値,Gの平均値及びBの平均値)。
注記4 コントラストとせん(閃)光とを自動的に検証することができるツールがある。
注記5 “MathML version of the relative luminance definition”(相対輝度の定義のMathMLバージョン)もhttp://www.w3.org/TR/WCAG20/relative-luminance.xmlにおいて参照可能である。
relative luminance
3.5.2
コントラスト比
(L1+0.05)/(L2+0.05)
ここに,L1:明るいほうの色の相対輝度
L2:暗いほうの色の相対輝度
注記1 コントラスト比は,1〜21の範囲になり得る(通常は,1:1〜21:1と記述される。)。
注記2 コンテンツ制作者は,テキストのレンダリング(例 フォントのスムージング及びアンチエイリアス)に関する利用者の設定を制御できないため,アンチエイリアスをオフにした状態でテキストのコントラスト比を評価してもよい。
注記3 7.1.4.3及び7.1.4.6の目的上,コントラストは,通常の使用においてテキストがレンダリングされるときに指定されている背景色に対して測定する。背景色の指定がない場合は,背景色には白を想定する。
注記4 背景色は,テキストが通常の使用においてレンダリングされるときに背景となるコンテンツの色として指定された色である。テキストの色は指定されているが背景色が指定されていない場合,利用者のデフォルトの背景色は未知であり,コントラストが十分かどうかを評価することができないため,問題がある。同じ理由で,背景色が指定されているがテキストの色が指定されていない場合も問題がある。
注記5 文字の周囲に縁取りがある場合,その縁取りがコントラストを強めることもあり,文字とその背景色とにおけるコントラストの計算に用いられる。ただし,文字の周囲の細い縁取りは文字として扱われる。文字の周囲の太い縁取りが,かさ(暈)(ハロー,後光,ドロップシャドウ,光彩など)のようになって,文字の細かい字画を埋めていれば,背景色として考慮されることになる。
注記6 この規格に適合しているか判断する場合は,典型的な表現において隣接するであろうと制作者が想定するコンテンツで指定された色の組合せについて評価しなければならない。制作者は,ユーザエージェントによる色の変更などのように通常とは異なる表現を考慮する必要はない。ただし,それが制作者のソースコードによって起こる場合は除く。
contrast ratio
3.5.3
せん(閃)光
十分な大きさとある周波数とにおいて発作を誘発するおそれのある,相対輝度の相反する変化の組合せ。注記 ここでいう“相反する変化の組合せ”とは,増加した後に減少する,又は減少した後に増加するものを指す。
flash
3.6.1
ユーザエージェント
ウェブコンテンツを取得して利用者に提示するあらゆるソフトウェア。注記 ウェブブラウザ,メディアプレーヤ,プラグイン,その他のプログラム。その他のプログラムには,ウェブコンテンツの取得,レンダリング,利用(インタラクション)を支援する支援技術を含む。
user agent
3.6.2
ビューポート
ユーザエージェントがコンテンツを提示するオブジェクト。注記 ユーザエージェントは,一つ以上のビューポートでコンテンツを提示する。ビューポートには,ウィンドウ,フレーム,スピーカ,拡大鏡ソフトなどがある。ビューポートは,(入れ子のフレームのように)他のビューポートを含んでいることがある。プロンプト,メニュー,アラートボックスのようにユーザエージェントが作成するインタフェース要素は,ビューポートではない。
viewport
3.6.3
レンダリング
ウェブコンテンツのデータから,利用者に提示する画像,音声などを生成すること。
rendering
3.6.4
表現●ウェブの表現
利用者が知覚できる形式でウェブコンテンツをレンダリングすること。
presentation
3.6.5
プログラムが解釈
様々なユーザエージェントが情報を抽出して様々な感覚モダリティで利用者に提示できるようにコンテンツ制作者が提供したデータから,ソフトウェアが解釈できること。
programmatically determined
3.6.6
メカニズム
結果を得るための手順又は手法。注記 メカニズムは,コンテンツ内で明示的に提供されることもあれば,プラットフォーム又はユーザエージェントのいずれかで提供されるものに依存することもある。
mechanism
3.7.1
依存した(技術)
その技術が無効になっている場合,又はサポートされていない場合に,コンテンツが適合できないウェブコンテンツ技術である。
relied upon (technologies that are)
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