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JIS X 8341-6:2013
高齢者・障害者等配慮設計指針―情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス―第6部:対話ソフトウェア 2013制定

番号 用語 定義 対応英語
3.1 アクセラレータキー あるメニュー選択肢を,その選択肢のあるメニュー又は途中段階のメニューを表示することなく呼び出すキーの組合せ。ショートカットキー(shortcut key)とも呼ぷ[JIS Z 8524:1999の3.a)(アクセラレータキー)参照]。注記 現在のシステムでは,アクセラレータキーで素早く呼び出せる機能は,必ずしもメニュー選択肢として与えられているものに限らない。しかし,1990年代前半に開発されたシステムでは,素早く呼び出せる機能はメニュー選択肢として与えられる機能に限られていたものがあった。 accelerator key
3.2 アクセシビリティ(インタラクティブシステムにおける) 様々な能力をもつ最も幅広い層の人々に対する製品,サービス,環境又は施設(のインタラクティブシステム)のユーザビリティ(JIS X 8341-1の3.1参照)。
注記1 このアクセシビリティの概念は,障害があると公式に認定された利用者だけに限定せずに,利用者のあらゆる範囲の能力を扱おうとしている。
注記2 使用性の概念に基づくこのアクセシビリティの考え方は,想定利用者内の能力の広がりに注意を払いながら具体的状況を考慮し,できるだけ高い水準の有効さ,効率及び満足度を達成することを目指している。
注記3 使用性の概念に基づくアクセシビリティの考え方については,附属書Fで補足説明している。
accessibility (interactive system)
3.3 アクセシビリティ機能 障害を経験する人々に対して製品の使用性を高めることを目的として,特別に設計された機能。 accessibility feature
3.4 活性化 精神的及び身体的機能の効率に差がある内部状態(JIS Z 8502の3.3.1.2参照)。 activation
3.5 支援技術●AT システムに付加して,又はシステム内に組み込んで,人にとってのアクセシビリティを高めるハードウェア又はソフトウェア。例 点字表示装置,画面読上げ,画面拡大ソフトウェア及び視線入力装置。 assistive technology●AT
3.6 複数キーの同時押し ある働きをもたらすための,キーボードの複数のキー又はポインティングデバイスの複数のボタンの同時押下げ。
注記 この定義には,データの入力又は何らかの働きをもたらすための,修飾キーと修飾キー以外のキーとの組合せ又は修飾キー以外のキーだけの組合せを含む。
例 修飾キー以外のキーだけの組合せにはS,D,F,J,K,Lキーを組み合わせて点字を入力する方法がある。
chorded key-press
3.7 閉じたシステム ユーザ接続も支援技術(全てのユーザインタフェースに接続するためのプログラムを含む。)の導入も許さないシステム。注記 閉じたシステムとする理由には,方針,システムの構造,物理的制約などがある。 closed system
3.8 配色 ユーザインタフェース要素を着色するのに用いる色の組合せ。注記 “色”とは,色相,彩度及び明度の組合せをいう。 colour scheme
3.9 対比(知覚における) 視野中の2か所以上の部分の見かけ上の差異が呼び起こす知覚(輝度対比,明度対比,色対比などがある。)。2か所以上の部分は,同時に視野に入る場合(同時対比)と,連続的に視野に入る場合(継時対比)とがある(IEC 60050-845:1987のdefinition 845-02-47参照)。 contrast (perceptual sense)
3.10 カーソル キーボード(又はキーボード模擬機構)を介する利用者とのやり取りが生じる箇所を,視覚的に示すもの。注記 キーボードフォーカスカーソル(3.22参照),テキストカーソル(3.35参照),ポインタ(3.30参照)と比較対照すると理解の助けとなる。 cursor
3.11 有効さ 利用者が指定された目標を達成する上での正確さ及び完全さ(JIS Z 8521の3.2参照)。 effectiveness
3.12 効率 利用者が目標を達成する際に正確さと完全さとに関連して費やした資源(JIS Z 8521の3.3参照)。 efficiency
3.13 明示的指示子 名称から離して(通常は名称の左側に)表示する,メニューの選択肢又はコントロールの見出しを表す符号又は略号。この符号又は略号をキー入力するとメニューの選択肢又はコントロールが選択される。例 図1に示す“H”,“T”,“Z”,“I”。
図1
図1−明示的指示子の例
注記1 明示的指示子(3.16参照)と比較対照すると理解の助けとなる。
注記2 JIS Z 8524の3.s) (選択肢指示子)参照。
注記3 明示的指示子としては,選ぼうとする選択肢を簡潔に指定するものであること,及びキー入力が容易なことが望ましいので,日本語の場合は仮名文字を用いてもよい。例えば,図1で,“ヒ”,“ト”,“ホ”,“イ”。
explicit designator
3.14 フォーカスカーソル どのユーザインタフェース要素がキーボードフォーカスをもっているかを,視覚的に示すもの。位置カーソル(location cursor)とも呼ぷ。
例 文字入力欄,ボタン,リスト,メニュー選択肢などの周りを囲む,箱図形又は強調表示した領域。
注記1 フォーカスをもつユーザインタフェース要素の種類によって,通常,フォーカスカーソルの外見は異なる。ユーザインタフェース要素がフォーカスをもっている場合,それがコントロール(例えば,ボタン)である場合は起動することができ,それが選択可能である場合は(例えば,アイコン,リスト項目),選択状態とすることができる。
注記2 入力フォーカス(3.18参照)及びカーソル(3.10参照)と比較対照すると理解の助けとなる。
focus cursor
3.15 アイコン コンピュータシステムの何らかの機能を表す,表示装置の画面上に表示される図形(ISO/IEC 11581-1:2000の4.7参照)。 icon
3.16 暗示的指示子 キーボードを用いた選択に利用する,メニューの選択肢名の一部又はコントロールの見出しの一部。
例 プリント作業のコントロールの見出しが“Print”と表示される場合,頭文字の“P”。“P”キーを押すと,印刷が開始される。
注記1 JIS Z 8524の3.s) (選択肢指示子)参照。
注記2 日本語を用いるシステムでは,選択肢名表示に用いる文字(仮名,平仮名及び漢字)とキーボードから入力する文字とが直接に対応しない(例えば,ローマ字入力)ことがあるため,暗示的指示子は利用しにくい。
implicit designator
3.17 個人化 利用者それぞれの能力及び必要性に合致するように,情報のやり取り及び情報提示の仕方を変更すること。 individualization
3.18 入力フォーカス 所定の入力装置における利用者の入力指示が,どのオブジェクトに向かうのかを示すもの[JIS Z 8526の3.11(入力フォーカス)参照]。例 ポインタフォーカス及びキーボードフォーカスは,入力フォーカスである。 input focus
3.19 キーボード模擬機構 キーボードからの入力と等価の入力を生成する,ソフトウェア又はハードウェア。
注記 キーボード模擬機構には,キーを提示するもの(例えば,画面キーボード)又は提示しないもの(例えば,音声認識)がある。
例 プラットフォームが備える画面キーボード,音声入力,手書き入力などは,アプリケーションにとって,その出力をキーボードからアプリケーションへの入力として扱えるので,キーボード模擬機構の例である。
keyboard emulator
3.20 等価キー 通常,ポインティングデバイス,音声入力などの入力又は操作機構によって起動する機能を動作可能にする,キーボード上のキー又はキーの組合せ。 keyboard equivalent
3.21 キーボードフォーカス キーボード又はキーボード模擬機構からの入力の,ユーザインタフェース要素への割当て。注記 個々のユーザインタフェース要素がフォーカスを得ていることは,フォーカスカーソルで示す。 keyboard focus
3.22 キーボードフォーカスカーソル キーボード又はキーボード模擬機構を介する利用者とのやり取りが生じる箇所を,目に見えるように示すもの。注記 キーボードフォーカス(3.21参照),ポインタ(3.30参照)及びテキストカーソル(3.35参照)と比較対照すると理解の助けとなる。 keyboard focus cursor
3.23 見出し 入力欄,表示専用欄,表,コントロール又はオブジェクトに付ける短い説明的な標題。(★この定義では「標題」次の例1では「表題」としているが,区別があるのか?★)
例1 表題,文字入力欄に付ける入力を促す記号,コントロールに識別のために付ける文字又は図(例えば,ボタンの上面に表示するもの。)及び双方向音声応答システムで用いる発声を促す音。
例2 図2に示す“作成日時”
図2
図2−見出し付きのテキスト欄の例
例3 図3に示す“改ページ位置の自動修正”は,グループ見出しの例であり“改ページ時1行を残して段落を区切らない”,“次の段落と分離しない”,“段落を分割しない”及び“段落前で改ページする”は,個々のチェックボックス見出しの例である。
図3
図3−グループ見出しと個々の見出しとを付けたチェックボックスグループの例
例4 クリックするとその時点の文書を印刷できるウィンドウ中のプリンタの絵。
注記1 アプリケーションによっては,見出しを読取り専用欄として扱う。
注記2 この定義は,JIS Z 8527の3.4(見出し)の規定を参考にしている。
注記3 この規格では,見出しとはユーザインタフェース要素の提示された標題を指し,名称属性とは区別している。利用者に対して名称属性を提示しない場合もあるが,その場合でも,支援技術に対しては名称属性の情報が利用できるようにする。文章で表現した見出しは,名称を視覚表示するものが多い。
注記4 名称(3.27参照)と比較対照すると理解の助けとなる。
label
3.24 ラッチ 修飾キー以外のキーを押すまで,又はポインティングデバイスのボタンを動かすまで,修飾キーの効果を保持し続ける状態。注記 ロック(3.25参照)と比較対照すると理解の助けとなる。 latch
3.25 ロック 修飾キー又はポインティングデバイスのボタンを無効にするまで,修飾キー又はポインティングデバイスのボタンの効果を保持し続ける状態。
注記1 キーボード及びポインティングデバイスの働きにだけ効果を及ぼすラッチとは異なり,ロックはその振る舞いを変えようとして修飾キーを利用している全てのソフトウェアに効果を及ぼす。
注記2 ロック状態は,通常,利用者が明示的に解除するが,その他にもシステムの停止又は再起動時に解除されることがある。
注記3 ラッチ(3.24参照)と比較対照すると理解の助けとなる。
lock
3.26 修飾キー 修飾キー以外のキー又はポインティングデバイスによる働き又は効果を変化させる機能をもつ,キーボード上のキー。
例1 シフト(Shift)キーを押しながら,キーボードの移動キー又はポインティングデバイスを使ってキーボードフォーカスを移動させると,単にキーボードフォーカスカーソルの位置が変わるのではなく,選択部分がキーボードフォーカスカーソル移動の方向に伸縮する。
例2 “C”キーを押すと,その文字が入力される。制御(Ctrl)キーを押しながら“C”キーを押すと,“コピー”機能が働く。
modifier key
3.27 名称 利用者がユーザインタフェース要素を識別するのに用いる,ユーザインタフェース要素に付けた語句。
注記1 名称には,画面上の教示,ソフトウェアの資料,又は利用者自身が参照するユーザインタフェース要素の主要な語句を用い,ユーザインタフェース要素の種類又は状態の情報を含ませないことが望ましい。
注記2 見出しとは対照的に,利用者に対する名称属性の提示の有無にかかわらず,支援技術は名称属性を利用することができる。この規格では,見出しとはユーザインタフェース要素の標題を指す。文章で表現した見出しは,名称を視覚表示するものが多い。
注記3 文章で表現した見出しを付けている場合,その見出しは一般に,名称又は名称の短縮形を示している。しかし,必ずしも全てのユーザインタフェース要素に見出しを付けるとは限らない。見出しを付けない場合でも,支援技術(吹き出しで表示する使用上のヒントなど)は名称を利用できる。
注記4 名称と内部的な識別子(ID)とを混同しないようにする。識別子はソフトウェアが用いるためのものであるため,人に分かりやすく設計されているとは限らない。
注記5 見出し(3.23参照)と比較対照すると理解の助けとなる。
name
3.28 自然言語 ある地域で多用され,主として実際の使われ方から言語規則が導かれた言語。 natural language
3.29 プラットフォームソフトウェア ハードウェアとやり取りし,他のソフトウェアへのサービスを提供するソフトウェア。
例 オペレーティングシステム,デバイスドライバ,ウィンドウシステム,ソフトウェアツールキット。
注記1 ブラウザ(ウェブ閲覧アプリケーション)は,アプリケーションとしてもプラットフォームソフトウェアとしても機能する。
注記2 この規格では,ソフトウェアとはプラットフォームソフトウェアとアプリケーションソフトウェアとの両方を指している。
platform software
3.30 ポインタ ポインティングデバイスの操作に応じて,画面上を移動する図記号[JIS Z 8526の3.15(ポインタ)参照]。注記 画面上に表示されたユーザインタフェース要素の位置までポインタを動かし直接操作を開始することで,利用者はそのユーザインタフェース要素とのやり取りを行う。 pointer
3.31 ポインタフォーカス ポインティングデバイスからの入力の,ウィンドウへの割当て。注記 ポインタフォーカスを得ているウィンドウは,通常,境界及び/又は標題バーが強調表示されるなどの,際立った特徴をもつ。 pointer focus
3.32 ポインティングデバイス 人の制御動作を,表示上の制御動作へと変換する装置(JIS Z 8526の3.17参照)。
注記1 機械装置だけでなく,人の体の部分(例えば,指,腕)をポインティングデバイスとして利用する技術もある。
注記2 ポインティングデバイスには,通常,ユーザインタフェース要素の起動又は操作に利用できるボタンが付いている。
注記3 ほとんどのハードウェアは,適切なソフトウェアを用いればポインタ(3.30)を制御するのに利用できる。
pointing device
3.33 満足度 不快感から独立した,製品使用に対する肯定的な見方[JIS Z 8521の3.4(満足度)参照]。 satisfaction
3.34 画面読取り機構 画面の表示内容を,主として,音声による文の読上げ,又は書換え可能な点字表示装置上の動的な点字として出力する支援技術。
注記1 画面読取り機構は,主として,文を音声で読み上げるか,又は書換え可能な点字表示装置上に動的な点字として出力される。
注記2 画面読取り機構は,オペレーティングシステム及びアプリケーションから得ることのできる情報(例えば,ユーザインタフェース要素の名称又は見出し)に依存している。
screen reader
3.35 テキストカーソル テキスト入力が挿入される現在位置を,視覚的に示すもの。注記 ポインタ(3.30参照),フォーカスカーソル(3.14参照)と比較対照すると理解の助けとなる。 text cursor
3.36 ユーザビリティ●使用性 ある製品が,指定された利用者によって,指定された目的を達成するために用いられる場合の,指定された利用状況下における有効さ,効率及び利用者の満足度の度合い[JIS Z 8521の3.1(使用性)参照]。 usability
3.37 ユーザインタフェース●UI インタラクティブシステムを用いて特定の仕事を遂行する利用者に対して,情報及び制御を提供する,インタラクティブシステム(ソフトウェア又はハードウェア)における全ての構成要素[JIS Z 8520の3.9(ユーザインタフェース)参照]。 user interface●UI
3.38 ユーザインタフェース要素 ソフトウェアが利用者に対して提示するユーザインタフェースの個々の構成要素。ユーザインタフェースオブジェクト(user-interface object)とも呼ぶ。
例 文章,図及びコントロール
注記1 ユーザインタフェース要素には,双方向性をもつものともたないものとがある。
注記2 行う作業に関連する構成要素とユーザインタフェースそのものの構成要素との両方を,ユーザインタフェース要素として扱う。ユーザインタフェース要素は,タスクオブジェクトを視覚的に表現し,利用者がそれとやり取りをするもの(例えば,手紙,注文,電子部品,配線図など)もあれば,システムオブジェクト(例えば,プリンタ,ハードディスク,ネットワーク接続)もある。これらのユーザインタフェース要素の中には,利用者が直接操作できるものも含まれる。
注記3 グラフィカルユーザインタフェース(GUI)中のユーザインタフェース要素としては,基本オブジェクト(例えば,ウィンドウの標題バー,メニュー項目,押しボタン,イメージマップ及び入力テキスト欄)と,コンテナ(例えば,ウィンドウ,グルーピングボックス,メニューバー,メニュー,そのうちから一つしか選べないオプションボタンの集まり,小画像から成る複合画像)とがある。聴覚ユーザインタフェースのユーザインタフェース要素には,音声メニュー,音声メニュー項目,メッセージ(例えば,“ピーットイウ オトノアトニ デンゴンヲ イレテクダサイ”),行動の催促(例えば,“ピーッ”)などがある。
user-interface element

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