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JIS X 25010:2013
システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価(SQuaRE)―システム及びソフトウェア品質モデル 2013制定

番号 用語 定義 対応英語
4.1.1 有効性 明示された目標を利用者が達成する上での正確さ及び完全さの度合い。注記 ISO 9241-11 (JIS Z 8521:1999)から引用したため“degree to which”という共通の文の部分が省略されている。 effectiveness
4.1.2 効率性 利用者が特定の目標を達成するための正確さ及び完全さに関連して,使用した資源の度合い。
注記1 関連する資源には,作業を完成するための時間(人的資源),材料又は資金面での使用コストを含む。
注記2 ISO 9241-11 (JIS Z 8521:1999)から引用したため“degree to which”という共通の文の部分が省略されている。
efficiency
4.1.3 満足性 製品又はシステムが明示された利用状況において使用されるとき,利用者ニーズが満足される度合い。
注記1 製品又はシステムと直接的に対話を行わない利用者に対して,目的の達成及び信用性だけが関連している。
注記2 満足性は,製品又はシステムとの対話についての利用者の反応であり,製品の利用に対する態度を含む。
satisfaction
4.1.3.1 実用性 利用の結果及び利用の影響を含め,利用者が把握した目標の達成状況によって得られる利用者の満足の度合い。 usefulness
4.1.3.2 信用性 利用者又は他の利害関係者がもつ,製品又はシステムが意図したとおりに動作するという確信の度合い。 trust
4.1.3.3 快感性 個人的なニーズを満たすことから利用者が感じる喜びの度合い。注記 個人的なニーズには,新しい知識及びスキル(技術)を獲得するというニーズ,個人のアイデンティティを伝えるというニーズ及び心地よい記憶を引き起こすニーズを含むことができる。 pleasure
4.1.3.4 快適性 利用者が(システム又はソフトウェアを利用する時の)快適さに満足する度合い。 comfort
4.1.4 リスク回避性 製品又はシステムが,経済状況,人間の生活又は環境に対する潜在的なリスクを緩和する度合い。注記 リスクは,所与の脅威の発生確率と,その脅威の発生によって起きる悪影響の可能性との関数である。 freedom from risk
4.1.4.1 経済リスク緩和性 意図した利用状況において,財政状況,効率的運用操作,商業資産,評判又は他の資源に対する潜在的なリスクを,製品又はシステムが緩和する度合い。 economic risk mitigation
4.1.4.2 健康・安全リスク緩和性 意図した利用状況において,製品又はシステムが人々に対する潜在的なリスクを緩和する度合い。 health and safety risk mitigation
4.1.4.3 環境リスク緩和性 意図した利用状況において,環境に対する潜在的なリスクを製品又はシステムが軽減する度合い。 environmental risk mitigation
4.1.5 利用状況網羅性 明示された利用状況及び当初明確に識別されていた状況を超越した状況の両方の状況において,有効性,効率性,リスク回避性及び満足性を伴って製品又はシステムが使用できる度合い。注記 利用状況は,利用時の品質及び幾つかの製品の品質(副)特性(ここでは,明示された条件下としている。)に関連している。 context coverage
4.1.5.1 利用状況完全性 明示された全ての利用状況において,有効性,効率性,リスク回避性及び満足性を伴って製品又はシステムが使用できる度合い。
注記 利用状況の完全性は,次のいずれかによって明示されるか,又は測定することができる。
 − 意図した全ての利用状況において,有効性,効率性,リスク回避性及び満足性を伴って,明示された目標を達成するために明示された利用者が製品を使用できる度合い
 − 意図した全ての利用状況において,使用を支援する製品特徴の存在
例 小さい画面を使用したり,低いネットワーク帯域幅であったり,熟練していない利用者が使ったり,また,障害許容性モード(例えば,ネットワークと接続していないモード)で使ったりした場合,ソフトウェアが使用可能である程度。
context completeness
4.1.5.2 柔軟性 要求事項の中で初めに明示された状況を逸脱した状況において,有効性,効率性,リスク回避性及び満足性を伴って製品又はシステムが使用できる度合い。
注記1 柔軟性は,追加の利用者グループ,作業及び文化に対して製品を適応することによって(4.2.8.1参照)達成することができる。
注記2 柔軟性は,前もって予測されていない周囲の状況,機会及び個人の好みを製品に考慮することを可能にする。
注記3 製品が柔軟性に合わせて設計していない場合,意図していない状況で製品を使用することは,安全でないかもしれない。
注記4 柔軟性は,次のどちらかで測定することができる。
 − 付加的な種類の利用状況において,有効性,効率性,リスク回避性及び満足性で付加的な種類の目標を達成するための付加的な種類の利用者によって,製品を使用することができる程度
 − 新しい種類の利用者,作業及び環境に対する適応性を保持するために修正し得る範囲,並びにJIS Z 8520で定義された個人化に対する適合性を保持するために修正し得る範囲
flexibility
4.2.1 機能適合性 明示された状況下で使用するとき,明示的ニーズ及び暗黙のニーズを満足させる機能を,製品又はシステムが提供する度合い。注記 機能適合性は,機能仕様にではなく,機能が明示的ニーズ及び暗黙のニーズを満足させるかどうかにだけ関係している(C.6参照)。 functional suitability
4.2.1.1 機能完全性 機能の集合が明示された作業及び利用者の目的の全てを網羅する度合い。 functional completeness
4.2.1.2 機能正確性 正確さの必要な程度での正しい結果を,製品又はシステムが提供する度合い。 functional correctness
4.2.1.3 機能適切性 明示された作業及び目的の達成を,機能が促進する度合い。
例 不要な段階を除いて,作業を完成するために必要な段階だけを利用者に提示する。
注記 機能適切性は,JIS Z 8520における仕事に対する適合性に該当する。
functional appropriateness
4.2.2 性能効率性 明記された状態(条件)で使用する資源の量に関係する性能の度合い。
注記1 資源は,他のソフトウェア製品,システムのソフトウェア及びハードウェア構成,並びに材料(例えば,印刷用紙,貯蔵媒体)を含むことができる。
注記2 その他の特性の定義にあってこの特性の原文に落ちている“degree to which《度合い》”を補足して翻訳した。
performance efficiency
4.2.2.1 時間効率性 製品又はシステムの機能を実行するとき,製品又はシステムの応答時間及び処理時間,並びにスループット速度が要求事項を満足する度合い。 time behaviour
4.2.2.2 資源効率性 製品又はシステムの機能を実行するとき,製品又はシステムで使用される資源の量及び種類が要求事項を満足する度合い。注記 人的資源は,効率性(4.1.2)の部分に含まれる。 resource utilization
4.2.2.3 容量満足性 製品又はシステムのパラメータの最大限度が要求事項を満足させる度合い。注記 変数には,保存することができる項目の数,同時に利用する利用者の数,通信帯域,トランザクションのスループット,及びデータベースの大きさを含む。 capacity
4.2.3 互換性 同じハードウェア環境又はソフトウェア環境を共有する間,製品,システム又は構成要素が他の製品,システム又は構成要素の情報を交換することができる度合い,及び/又はその要求された機能を実行することができる度合い。注記 ISO/IEC 24765を変更した。 compatibility
4.2.3.1 共存性 その他の製品に有害な影響を与えずに,他の製品と共通の環境及び資源を共有する間,製品が要求された機能を効率的に実行することができる度合い。 co-existence
4.2.3.2 相互運用性 二つ以上のシステム,製品又は構成要素が情報を交換し,既に交換された情報を使用することができる度合い。注記 ISO/IEC 24765を基にする。 interoperability
4.2.4 使用性 明示された利用状況において,有効性,効率性及び満足性をもって明示された目標を達成するために,明示された利用者が製品又はシステムを利用することができる度合い。
注記1 ISO 9241-210を変更した。
注記2 使用性は,副特性,すなわち,製品品質特性として明示し若しくは測定するか,又は利用時の品質の部分集合である測定量によって直接的に明示し若しくは測定できる。
usability
4.2.4.1 適切度認識性 製品又はシステムが利用者のニーズに適切であるかどうか(4.2.1.3)を利用者が認識できる度合い。
注記1 適切度認識性は,製品又はシステム,及び/又は他の関係する文書の最初の印象から,製品又はシステムの機能の適切さを理解することができるかどうかによって決まる。
注記2 製品又はシステムによって提供される情報は,デモンストレーション,チュートリアル,文書類又はウェブサイトのためのホームページ上の情報を含むことができる。
appropriateness recognizability
4.2.4.2 習得性 明示された利用状況において,有効性,効率性,リスク回避性及び満足性をもって製品又はシステムを使用するために明示された学習目標を達成するために,明示された利用者が製品又はシステムを利用できる度合い。
注記 習得性は次のいずれかによって,明示することができるか,又は測定することができる。
 − 明示された利用状況において,有効性,効率性,リスク回避性及び満足性をもって製品又はシステムを使用するために明示された学習目標を達成するために,明示された利用者によって製品又はシステムを利用できる程度による。
 − JIS Z 8520で定義された学習についての適合性に関するする製品の特徴による。
learnability
4.2.4.3 運用操作性 製品又はシステムが,それらを運用操作しやすく,制御しやすくする属性をもっている度合い。注記 運用操作性は,JIS Z 8520で定義するように,可制御性,誤りに対しての許容度及びユーザの期待への一致に対応する。 operability
4.2.4.4 ユーザエラー防止性 利用者が間違いを起こすことをシステムが防止する度合い。 user error protection
4.2.4.5 ユーザインタフェース快美性 ユーザインタフェースが,利用者にとって楽しく,満足のいく対話を可能にする度合い。注記 このことは,利用者の精神的快適性及び満足を増加させる製品又はシステムの特徴,例えば,色の使用,グラフィックデザインの種類に言及している。 user interface aesthetics
4.2.4.6 アクセシビリティ 製品又はシステムが,明示された利用状況において,明示された目標を達成するために,幅広い範囲の心身特性及び能力の人々によって使用できる度合い。
注記1 能力の範囲は,年齢による身体障害を含む。
注記2 身体障害をもった人々に対するアクセシビリティは,次のいずれかによって明示され,測定されることができる。
 − 明示された利用状況において,有効性,効率性,リスク回避性及び満足性をもって明示された目標を達成するために,明示された身体障害をもつ利用者によって,製品又はシステムを利用できる程度について
 − アクセシビリティを支援する製品特徴の存在によって
accessibility
4.2.5 信頼性 明示された時間帯で,明示された条件下に,システム,製品又は構成要素が明示された横能を実行する度合い。
注記1 ISO/IEC 24765を変更した。
注記2 ソフトウェアでは,摩耗は起こらない。信頼性の限界は,要求事項,設計及び実装での障害が原因である。また,(利用)状況の変化が原因である。
注記3 ディベンダビリティ特性には,可用性及びその固有の要因又は外部の影響する要因[例えば,可用性,信頼性(障害許容性及び回復性を含む。),セキュリティ(機密性及びインテグリティを含む。),保守性,耐久性,保守支援]を含む(附属書B参照)。
reliability
4.2.5.1 成熟性 通常の運用操作の下で,システム,製品又は構成要素が信頼性に対するニーズに合致している度合い。注記 成熟性の概念は,通常の運用操作の下で要求されたニーズに成熟性以外の品質特性が合致している度合いを示すために成熟性以外の品質特性に適用することもできる。 maturity
4.2.5.2 可用性 使用することを要求されたとき,システム,製品又は構成要素が運用操作可能及びアクセス可能な度合い。(ISO/IEC 24765) 注記 外面的には,可用性は,システム,製品又は構成要素が作動状態でいる間の合計時間の割合で総合評価することができる。それゆえ,可用性は,(故障の頻度を左右する)成熟度,障害許容性(耐故障性)及び(各故障後の停止時間を左右する)回復性との組合せである。 availability
4.2.5.3 障害許容性●耐故障性 ハードウェア又はソフトウェア障害にもかかわらず,システム,製品又は構成要素が意図したように運用操作できる度合い。注記 ISO/IEC 24765を変更した。 fault tolerance
4.2.5.4 回復性 中断時又は故障時に,製品又はシステムが直接的に影響を受けたデータを回復し,システムを希望する状態に復元することができる度合い。注記 故障に伴い,コンピュータシステムが一定の時間停止することが時々あるが,そのシステムの回復性によって,停止時間は決まる。 recoverability
4.2.6 セキュリティ 人間又は他の製品若しくはシステムが,認められた権限の種類及び水準に応じたデータアクセスの度合いをもてるように,製品又はシステムが情報及びデータを保護する度合い。
注記1 蓄えられたデータ又は製品若しくはシステムによって蓄えられたデータと同じように,セキュリティは送信中のデータにも適用する。
注記2 生存性(survivability)(攻撃が存在するにもかかわらず,時期を逃さずに,必須のサービスを提供することによって,その使命を製品又はシステムが満たし続ける度合い。)は,回復性(4.2.5.4)によって取り扱われる。
注記3 免疫性(immunity)(製品又はシステムが攻撃に耐える度合い)は,インテグリティ(4.2.6.2)によって取り扱われる。
注記4 セキュリティは,信用性(4.1.3.2)に貢献する。
security
4.2.6.1 機密性 製品又はシステムが,アクセスすることを認められたデータだけにアクセスすることができることを確実にする度合い。 confidentiality
4.2.6.2 インテグリティ コンピュータプログラム又はデータに権限をもたないでアクセスすること又は修正することを,システム,製品又は構成要素が防止する度合い。(ISO/IEC 24765) integrity
4.2.6.3 否認防止性 事象又は行為が後になって否認されることがないように,行為又は事象が引き起こされたことを証明することができる度合い。注記 JIS X 5004:1991を変更した。 non-repudiation
4.2.6.4 責任追跡性 実体の行為がその実体に一意的に追跡可能である度合い。注記 JIS X 5004:1991を変更した。 accountability
4.2.6.5 真正性 ある主体又は資源の同一性が主張したとおりであることを証明できる度合い。注記 JIS Q 13335-1:2006を変更した。 authenticity
4.2.7 保守性 意図した保守者によって,製品又はシステムが修正することができる有効性及び効率性の度合い。
注記1 修正には,環境における変更,並びに要求事項及び機能仕様における変更に対するソフトウェアの訂正,改良又は適応を含むことができる。修正には,特別の支援要員こよって実施される修正,及び事業要員,運用要員又はエンドユーザによって実施される修正を含む。
注記2 保守性には,更新機能及び向上機能の実装を含む。
注記3 保守性は,保守活動を手助けするための製品若しくはシステムの固有の能力,又は製品若しくはシステムを保守する目標に対して保守者が経験する利用時の品質のいずれか一方として,説明することができる。
maintainability
4.2.7.1 モジュール性 一つの構成要素に対する変更が他の構成要素に与える影響が最小になるように,システム又はコンピュータプログラムが別々の構成要素から構成されている度合い。(ISO/IEC 24765) modularity
4.2.7.2 再利用性 一つ以上のシステムに,又は他の資産作りに,資産を使用することができる度合い。注記 IEEE 1517:1999 (R2004)を変更した。 reusability
4.2.7.3 解析性 製品若しくはシステムの一つ以上の部分への意図した変更が製品若しくはシステムに与える影響を総合評価すること,欠陥若しくは故障の原因を診断すること,又は修正しなければならない部分を識別することが可能であることについての有効性及び効率性の度合い。注記 故障又はその他の事象の発生以前に,製品又はシステムが自分自身の障害を分析し,報告書を提供するための仕組みを提供することを,実装に含めてもよい。 analysability
4.2.7.4 修正性 欠陥の取込みも既存の製品品質の低下もなく,有効的に,かつ,効率的に製品又はシステムを修正することができる度合い。
注記1 実装には,変更についてのコーディング,設計,文書作成及び検証を含む。
注記2 モジュール性(4.2.7.1)及び解析性(4.2.7.3)は,修正性に影響することがある。
注記3 修正性は,変更性と安定性との組合せである。
modifiability
4.2.7.5 試験性 システム,製品又は構成要素について試験基準を確立することができ,その基準が満たされているかどうかを決定するために試験を実行することができる有効性及び効率性の度合い。注記 ISO/IEC 24765を変更した。 testability
4.2.8 移植性 一つのハードウェア,ソフトウェア又は他の運用環境若しくは利用環境からその他の環境に,システム,製品又は構成要素を移すことができる有効性及び効率性の度合い。
注記1 ISO/IEC 24765を変更した。
注記2 移植性は,移植活動を容易にするための製品若しくはシステムの固有の能力,又は製品若しくはシステムを移植する目標を経験した利用時の品質のいずれかとして解釈できる。
portability
4.2.8.1 適応性 異なる又は進化していくハードウェア,ソフトウェア又は他の運用環境若しくは利用環境に,製品又はシステムが適応できる有効性及び効率性の度合い。
注記1 適応性には,内部容量・能力(例えば,スクリーン領域,表,業務処理量,報告書様式)の拡張性を含む。
注記2 適応性には,特別の支援要員によって実施されるもの,事務要員,運用操作要員又はエンドユーザによって実施されるものを含む。
注記3 システムがエンドユーザによって適応される場合は,適応性は,JIS Z 8520で定義されたように,個人化への適合性に対応する。
adaptability
4.2.8.2 設置性 明示された環境において,製品又はシステムをうまく設置及び/又は削除できる有効性及び効率性の度合い。注記 エンドユーザが製品又はシステムを設置する場合,設置性は,結果として生じる機能適切性及び運用操作性に影響を及ぼす。 installability
4.2.8.3 置換性 同じ環境において,製品が同じ目的の別の明示された製品と置き換えることができる度合い。
注記1 ソフトウェア製品の新しい版の置換性は,機能向上の場合利用者には重要である。
注記2 置換性は,設置性及び適応性の両方の属性を含むことがある。概念は,その重要さのために独立の副特性として紹介される。
注記3 置換性は,特定のソフトウェア製品だけしか使えなくなる状態に陥るリスクを軽減する。例えば,標準化されたファイル様式の使用によって,現在使用しているソフトウェア製品を他のソフトウェア製品で置き換えることによってもたらされる。
replaceability
4.3.1 資産 個人又は組織にとって価値をもつもの。
注記1 JIS Q 13335-1:2006を変更した。
注記2 この規格では,資産とは,作業生成物(例えば,要求事項文書,ソースコードモジュール,測定定義書)などのことをいう。
asset
4.3.2 ベンチマーク 結果が測定又は総合評価できる標準。(ISO/IEC 24765) benchmark
4.3.3 構成要素 別々の構造(例えば,アセンブリ又はソフトウェアモジュール)で,特別な水準での分析で考慮されたシステム内の&繧後k菫ョ豁」繧貞性繧