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JIS Z 8125:2004
印刷用語−デジタル印刷 2004制定

番号 用語 定義 対応英語
00.01 文字 可視化表現(形状,大きさ,意匠など),筆順,音,意味,起源,機能などを属性としてもつ情報表現要素。
備考 この規格における文字は,その属性として可視化表現だけを対象とする。
参考 文書情報処理においては,限定された属性だけが対象となることが多く,その限定された属性に対して符号化表現などの識別子を割り当てる。
character
00.01.01 字体 一つの漢字として認識される点画の抽象的な構成の在り方で,視覚的認識のために他の文字と明確に区別できる特徴を備えている。
参考 漢字符号の幾つかの規格では字体を抽象的な概念と位置付け,その具体的な形として実現されたものを字形と定義している。JIS X 0208及びJIS X 0213では包摂規準を設け,その規準の範囲内においては複数の字体を区別せずに,それらに同一の区点位置を与えている。“常用漢字表”及び“表外漢字字体表”では,各々においてデザインの違いであって字体の違いではないと考えられる字形差が例示されている。また,義及び音が同じ漢字でありながら,標準的な字体と異なる字体のものを異体字という。
abstract letter shape
00.01.02 グリフ 個々のデザインの違いを除去した認知可能な抽象的図記号(JIS X 4161参照)。
参考 ISO/IECの国際登録機関である日本の国際大学GLOCOM (Global Communication Centerが,組織又は個人からの要求に応じて,JIS X 4165に従って割り当てる識別子の識別対象。
glyph
00.01.02.01 合字●リガチャ 二つ以上のグリフの一部を融合し,一体化して一つのグリフとしたもの。
参考 f,i及びlを合わせて一体化したfi,flなどがよく用いられる。
composite glyph●ligature
00.01.03 字形 文字について,手書き,印字,画面表示などによって実際に図形として表現したもの。
参考 字体の項を参照。
letter form
00.01.04 書体 印字,画面表示などに使用するため,統一的な意図に基づいて作成された一組の文字又は記号の意匠。 typeface
00.01.04.01 フォント ある書体によって作成された字形の集合。
参考 金属活字では,同一書体,同一の文字サイズの一そろいを意味している。
font
00.01.04.02 システムフォント システムソフトウェアに組み込まれたフォント。 system font
00.01.05 作字 複数の文字の部分を組み合わせるなどの方法により,新たな字形を作ること。
00.02 地紋 印刷領域の地の一部又は全部に付ける模様。
参考 通常は,ある単位模様を繰り返し,敷きつめることによって実現する。
00.03 タイポグラフィ a) 文字印刷の方法。
b) 文字,又は文字及び画像を用いた印刷物の意匠及び設計。
参考 狭義には,金属活字を用いる活版印刷術を指すが,概念が拡大され,文字印刷全般,更に,印刷物の意匠,設計などを意味するようになっている。書体の意匠も関連する。
typography
00.03.01 組版 原稿及びレイアクトの指定に従って,文字・図版・写真などを配置する作業の総称。
参考 面付は組版に含まれない。
composition
00.03.01.01 ページ物 形式のほぼ一定した組体裁に基づき,面付の処理を経て作成される,ある程度のページ数のある印刷物。
00.03.01.02 端物 単一ページ,又は少数ページからなる印刷物の総称。
参考 主に広告,伝票,名刺などの商業印刷物に関して用いる。
00.04 オンデマンド印刷 出版物,カタログなどをデジタルデータで保存しておき,必要なときに必要な部数だけ必要な人に必要な情報を印刷する方法(JIS Z 8124参照)。 on-demand printing●demand printing
00.05 バリアブル印刷 可変データの印刷をすること。 variable printing
00.06 CIP3 International Cooperation for Integration of Prepress,Press and Postpressの短縮形。製版,印刷及び印刷後工程という印刷の全工程を統合し,その各工程間で処理及び管理のデータをやりとりすることを目指した国際的な広がりをもった業界活動及びそれが定めたデータ形式。
参考 製版,印刷及び印刷後工程の間で処理及び管理のデータをやりとりするためのフォーマットは,PPF (Print Prduction Format)である。
00.07 CIP4 International Cooperation for Integration of Processes in Prepress,Press and Postpressの短縮形。CIP3に工程管理を加えたもの。
参考 CIP4のためのデータフォーマットとしてJDF (Job Definition Format)がある。
01.01 欧文フォント ラテン文字を表示するフォント。
01.02 和文フォント 日本語を表示するフォント。
参考 日本語を表示するために必要な漢字,仮名,約物などの他に,一般に,漢字,仮名などに合わせて設計したアラビア数字,ラテン文字などを含む。
Japanese font
01.02.01 仮名フォント 平仮名及び/又は片仮名文字から構成される和文フォント。
参考 約物(やくもの)を含むこともある。
kana font
01.03 数字フォント アラビア数字から構成されるフォント。
参考 記号類を含むこともある。
numeric font
01.04 中文フォント 中国語を表示するフォント。 Chinese font
01.05 ハングルフォント 朝鮮語(チョソノ)のハングルを表示するフォント。 Hangul font
01.06 記号フォント 約物及びその他の記号で構成されるフォント。 sign font
01.07 外字フォント 外字で構成されるフォント。 gaiji font
01.08 パイフォント 通常の欧文フォントに含まれていない文字又は記号専用のフォント。 pi font
01.09 ファミリー●フォントファミリー 書体の設計において共通の起源をもつ,又は一定の様式をもたせてウェイト,字幅などに変化をつけたフォントの集合。
参考 和文フォントについてもいう。ファミリー内の変化を与えるパラメタは,和文フォントでは,主にウェイトによる。欧文フォントにおけるファミリー内の変化を与えるパラメタは多様で,立体又はイタリック,ウェイト,平均的な字幅,ディセンダの長さ,アセンダの長さなどがある。
family●font family
01.09.01 ウェイト 書体における字形の画線の太さの指標。
参考 ウェイトの表記には一定の基準はなく,同一表記であっても書体によってその画線の太さが異なることが多い。
weight
01.09.02 立体●ローマン 直立した形に設計した欧文フォント。
01.09.03 イタリック 右斜めに傾けて設計した欧文フォント。 italic
01.10 正体 直立の原形字形。
参考 平体・長体・斜体に対していう。
01.11 変形 正体に対して縦又は横の一方向の拡大・縮小,傾けなどを施すこと,又は施したもの。 deformimg
01.11.01 斜体 変形の一つで,文字の横枠・縦枠のいずれか又は両者を斜めにしたもの。 slant
01.11.02 長体 変形の一つで,文字の横幅を縮小したもの。 narrow
01.11.03 平体 変形の一つで,文字の天地方向を縮小したもの。 wide
01.12 (フォント情報管理の)送り フォントの設計の際に定められる隣接して並ぶ文字の対応する基準点間の変位。 escapement
02.01 フォントメトリク●フォント配置量 フォントに含まれるグリフ表現に共通する寸法情報を含む各種計量情報の総称(JIS X 4161及びJIS X 4162参照)。 font metric
02.01.01 グリフメトリク●グリフ配置量 一つの字形に固有の寸法情報を含む各種計量情報の総称(JIS X 4161及びJIS X 4162参腰)。 glyph metric
02.02 字幅●セット 配列する方向の文字の外枠の大きさ。一般に幅の絶対値を文字サイズで除した値で示す。単位には,エム,倍,分などが用いられる。
参考 欧文フォントでは,グリフに外接するく(矩)形に両サイドベアリングを加えた幅。
character width●set
02.02.01 a-zレングス aからzまでの全文字の字幅の合計。 a-z length
02.02.02 プロポーショナル 一つのフォント中で文字の字幅が一定でなく,文字ごとに独立した字幅の値をもっていること。
参考 欧文フォントは,通常プロポーショナルに作られている。
proportional
02.02.03 モノスペース 一つのフォントの文字の字幅がすべて等しい値をもっていること。
参考 和文フォントの各文字は,通常,モノスペースであり,正方形の仮想ボディにデザインされる。
mono-space
02.03 サイドベアリング 欧文のグリフに外接するく(矩)形の左端から文字の外枠の左辺又は右端から文字の外枠の右辺までの長さ。
参考 左側のサイドベアリングをLSB (Left Side Bearing),右側のサイドベアリングをRSB (Right Side Bearing)と表記することがある。
side bearing
02.04 ベースライン●並び線 欧文フォントなどにおいて,フォン卜中の多くのグリフがその上でそろう,基本的な仮想の線(図2.1参照)。
参考 欧文の主要な文字は,ベースラインと呼ぶ仮想の線を基準としてデザインし,また,組版の際に文字を配置する。
baseline●alignment line (ISO/IEC 9541-1)
02.05 xハイト 欧文フォントのベースラインからの小文字xの高さ(図2.1参照)(ISO TR 9544参贋)。
参考 小文字のxは,文字の下端をベースライン上にそろえてデザインされている。オーバシュートがないため,小文字の高さの基準として用いる。
x-height
02.05.01 ミーンライン 欧文の小文字の高さを示すベースラインに平行な仮想の線(図2.1参照)。
参考 エックスライン(x-line)と呼ばれることが多い。
mean line
02.06 キャップハイト 欧文フォントのベースラインからの大文字の高さ(図2..1参照)。 cap height
02.06.01 キャップライン 欧文の大文字の高さを示す仮想の線(図2.1参照)。 cap line
02.07 アセンダ 欧文小文字のb,d,f,h,k,l,tなどの文字の,xハイトよりも上に伸びている部分(ISO TR 9544参照)。 ascender
02.07.01 アセンダライン アセンダの最上部を示す,ベースラインに平行な仮想の線(図2.1参照)。 ascender line
02.08 ディセンダ 欧文小文字のg,j,p,q,yなどの文字の,ベースラインより下に伸びている部分(ISO TR 9544参照)。 descender
02.08.01 ディセンダライン ディセンダの最下端を示す,ベースラインに平行な仮想の線(図2.1参照)。
図2.1
図2.1 欧文の基準フォントメトリク
descender line
02.09 オーバシュート●オーバハング 欧文の大文字O,A,V,小文字o,c,vなどの,上部又は底部の円弧状又は鋭角的な部分を,ベースライン又はキャップライン若しくはミーンラインよりも少しはみ出して設計すること(JIS X 4163参照)。
参考 これらの文字を他の文字と同じ高さにそろえてデザインすると,視覚的に小さく見える傾向がある。オーバシュートはそれを補正する。
overshoot●overhang
02.10 文字サイズ 文字の大きさ。通常,文字の行送り方向の外枠又は仮想ボディの長さ。
参考 文字の大きさを表す単位としては,JIS Z 8305で規定しているポイント(1ポイント=0.3514mm)のほかに,Q (1Q=0.25mm)が主に用いられている。新聞用フォントは,1U (0.011inch)を文字サイズの単位とする。
character size
02.10.01 ポイント 文字サイズの単位。1ポイントは0.3514mmに等しい(JIS Z 8305参照)。
参考 ポイント制は,いくつかある(フルニエ式,ディドー式など)が,日本では,アメリカ式ポイント制を常用している。校正・編集作業では,“ポ”と表記する。字間若しくは字送り,又は行間若しくは行送りの大きさを指示する単位としても用いる。システムによっては1/72×25.4mmを1ポイントとするものもある。
point
02.10.02 Q 文字サイズの単位。1Qは0.25mmに等しい。
参考 1mmの4分の1の大きさで,quarterの頭文字をとってQで表す。字間若しくは字送り,又は行間若しくは行送りの大きさを指示する単位としても用いる。この場合はH (1H=1Q=0.25mm)の単位も用いる。
02.10.03 全角 a) 変形をかけない正方形の文字のサイズ。
b) a)に等しい長さの相対単位。
参考 エムに相当する。
02.10.04 エム 文字サイズと等しい長さの相対単位(ISO TR 9544参照)。
参考 欧文文字のMが高さと幅との比がおよそ1であることから,エムを全角として扱ってきた。主として欧文の場合に用いる。
em
02.10.05 二分●二分●半角 全角の2分の1の長さ。
02.10.06 エン 文字サイズの半分の幅(ISO TR 9544参照)。
参考 欧文文字のnの高さと幅との比がおよそ2分の1であることから,エンを二分として扱ってきた。主として欧文の場合に用いる。
en
02.10.07 三分●三分 全角の3分の1の長さ。
02.10.08 四分●四分 全角の4分の1の長さ。