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TR X 0002:1997
マルチメディア/ハイパメディア情報処理用語
1997制定
番号
用語
定義
対応英語
01.01
メディア
1.[一般] 情報を担う媒体又は手段
2.[MHEG用語] 情報を知覚(perception),表現(representation),出力(presentation),記憶(storage)又は伝送(transmission)するための手段。
備考
知覚メディアの例:音,映像
表現メディアの例:符号化文字列,ビット列
出力メディアの例:スピーカ,CRTディスプレイ,プリンタ
記憶メディアの例:CD-ROM,VTR
伝送メディアの例:より線ケーブル,光ファイバケーブル
medium●media (plural)
01.01.01
マルチメディア
1.[一般] コンピュータ,家電,通信などにおける画像データ(静止画又は動画),音声データ及びその他の多様なデータの組合せ。対話形で利用することが多い。
2.[HyTime用語] 画家,作曲家などが用いる表現形態(絵画,音楽など)のような,何かを伝達するための手段の複数使用(形容詞)。
3.[MHEG用語] 複数のメディアに関するようす(形容詞)。
備考 通常,名詞を伴って,マルチメディアサービス,マルチメディア端末,マルチメディアネットワークのように用いる。
multimedia
01.01.02
ハイパメディア
1.[一般] 文字列を主対象とするハイパテキストを拡張した概念で,文字列,画像,音声などのオブジェクトの間に関係付けを施して,多様なアクセスを可能にした情報形態。
2.[MHEG用語] リンク間のナビゲーション(06.06参照)によって,単一メディア及び複数メディアをアクセスする能力。
hypermedia
01.01.03
知覚メディア
[MHEG用語] 人によって知覚される情報。備考 例えば,人の話,雑音,音楽,テキスト,絵画,動画,情景。
perception media
01.02
仮想現実
現実感を伴った仮想的な世界をコンピュータによって作り出す技術。備考 この用語は,米国VPL Research社のJaron Lanier及び同社に業務を発注したNASA Ames研究所のScott Fisherが“仮想環境ワークステーション”プロジェクトにおいて使い始めた。同社は,データグローブ(仮想的な手),データスーツなどを商品化した。
virtual reality●VR
01.02.01
人工現実
現実感を伴った仮想的な世界をコンピュータによって作り出す技術。人工的な現実を体験するために.データグローブのような特別の装置は使わない。備考 米国のMyron Kruegerが,人工的な現実を作るという意味で,1974年ごろからこの用語を使い始めた。
artificial reality●AR
01.02.02
サイバスペース
電子的に実現した仮想の空間。備考 インタネット上に実現した仮想の都市又は街を指す場合が多い。
cyber space
01.03
NII
米国のクリントン政権が政策目標として整備を提唱した,高速・大容量のディジタル情報通信ネットワーク。備考 かつて全米の高速道路の整備を強力に推し進めたゴア元上院議員の業績にならい,今後の産業発展を支える基盤として大量の情報をやりとりできるこの高速通信網を,ゴア副大統領が情報スーパハイウエイと名付けた。1993年に発表されたNII行動アジェンダでは,NIIの構築に関して民間の投資活力及び競争原理による推進を唱え,政府の役割についてビジョンの提示,競争条件・事業環境などの整備,NIIの活用のための法制度整備などに力点を置いている。
national information infrastructure
01.03.01
GII
米国内のNIIを国際的に広げた情報スーパハイウエイ。備考 米国のゴア副大統領が,1994年3月にブエノスアイレスで開かれたITU(国際電気通信連合)の電気通信開発会議で提唱した。
gii●global information infrastructure
01.03.02
ハイパネットワーク
新しい市民社会の基盤としてのマルチメディアネットワークの形態。備考 この形態のネットワークによって,個人が十分な情報の受発信能力をもち,さらにネットワーク通信機能が個人の人間関係の基盤になる。
hypernetwork
01.03.03
ナローキャスト
特定少数向けに対象を絞った情報配送の形態。備考 不特定多数を対象とするブロードキャストに対して,特に対象を限定する場合に用いる。
narrowcast
01.04
CSCW
コンピュータ支援による共同作業。備考 米国においてグループウェアに先行して使われた。CSCWのために作られたソフトをグループウェアという。
computer supported cooperative work
01.04.01
グループウェア
グループでの作業を支援して生産性を上げるために作られたソフトウェア又はソフトウェアを含む仕組み。
groupware
01.05
オブジェクト指向
データとプログラムとを組み合わせたオブジェクトという単位で情報を処理する方式。
object-oriented
02.01
エレクトロニックコマース
電子商取引又は電子商取引によって実現する市場。備考 インタネットなどのネットワーク環境に仮想店舗を作り,その店舗を介して売買を行う。
electronic commerce
02.01.01
バーチャルコーポレーション
電子的な環境に構築された仮想の企業形態。備考 例えば,提携先の企業をあたかも自社の部門のように動かすことによって,大きな事業をなし遂げたり,経営効率を上げることを目的とする。1993年に,米国の経営コンサルタントのウイリアムデビドゥ及びマイケルマローンが,彼らの著書の中でこの概念を提唱した。
virtual corporation
02.01.02
ディジタルキャッシュ
ネットワーク上での電子的な通貨。備考 インタネット上に電子的な通貨を流通させるために考えられた。技術的な実現手法だけでなく,従来の通貨との換金の方法などの運用面での研究開発も世界中で行われている。
digital cash
02.01.03
オンラインショピング
ネットワークを介して消費者が商品情報を入手し,ネットワークを介して注文を出す,無店舗販売。
online shopping
02.02
電子出版
電子的な手法を用いて編集・表示・配布を行う出版の形態。備考 CD-ROMなどの可換記憶メディアを使った配布形態と,インタネット,パソコン通信などを使ったオンラインによる配布形態とがある。従来は印刷物生成のための電算写植を電子出版と呼んでいたが,デスクトップパブリシング(02.02.01参照)をはじめとするコンピュータ化の普及と共に,電子的な手段を用いて配布することまで含めて電子出版と呼ぶようになった。
electronic publishing
02.02.01
デスクトップパブリシング
パーソナルコンピュータなどを使った個人的な環境で,高品質な出版物を編集・出版する形態。
desktop publishing●DTP
02.02.02
サイバパブリシング
インタネットなどのネットワークの上で実現する電子出版の形態。備考 出版情報の所在地は1か所ではなく,ネットワーク上に分散している。これらの情報をネットワークによって統合的に結びつけて出版を行う。
cyberpublishing
02.03
ディジタル図書館
文字列だけでなく,動画,音声などをも含むマルチメディア図書の収集・蓄積・配布を,ディジタル信号の形態で統合的に扱う図書館。備考 電子図書館(electronic library)及び仮想図書館(virtual library)と同義。米国では,ディジタル図書館が用語として定着しつつある。1994年5月に開催された“1994 Workshop on Digital Libraries (ADL94)”及び同年6月のコンファレンス“Digital Libraries '94 (DL94)”で,その用語が広く認知された。1995年4月号のCACMでDigital Librariesの特集記事が掲載されるに至って,この用語がさらに普及した。
digital library
02.04
インタラクティブテレビ
情報伝達が一方向の従来のテレビと異なり,利用者からの要求を受けて応答するテレビの通信形態。対話形テレビとも言う。備考 この応用として,ビデオオンデマンド(02.04.01参照),ニュースオンデマンド(02.04.02参照),商品情報を画像を見ながら検索して注文できるオンラインショピング(02.01.03参照)などがある。
interactive television
02.04.01
ビデオオンデマンド
利用者からの要求に応じて映像情報を送る対話形映像情報サービス。備考 コンピュータとネットワークとの組合せによって,遠隔地の映像を利用者の要求に応じて送り届けて,レンタルビデオショップが手元にあるようなサービスを可能にする。
video on demand
02.04.02
ニュースオンデマンド
利用者からの要求に応じてニュース情報を送る対話形映像情報サービス。備考 コンピュータとネットワークとの組合せによって,利用者が必要とするニュース映像が即時に利用者に届けられる。
news on demand
02.04.03
通信カラオケ
ネットワークを用いてサーバから端末へ楽曲データを配送するカラオケシステム。備考 反復使用する幾つかの画像データだけを端末に記憶し,楽曲データは遠隔地にあるサーバから,利用者の要求に応じてネットワークを介してダウンロードする。大量の楽曲データを記憶する必要がないため,端末を小形にでき,新曲への対応が素早くできる。頻繁に利用する楽曲データを,端末内にキャッシュするシステムも多い。64kb/sのISDNを利用したり,電話回線とMODEMとを用いることが多いが,ATM回線の利用も実験されている。
Karaoke on demand
02.05
テレコンファレンス
ネットワークを用いて遠隔地の参加者が出席する会議。備考 電話会議,テレビ会議などがある。
teleconference
02.06
コンピュータテレフォニ
コンピュータによって電話機能(テレフォニ)を利用する方法。備考 内線電話網,公衆電話網などの音声ネットワークと,LANなどのデータネットワークとを統合することによって実現する。
computer telephony
02.07
テレメディスン
ネットワークを用いて,遠隔地にいる患者に対して診察・診断を行う医療。
tetemedicine
02.07.01
テレパソロジ
ネットワークを用いて,遠隔地にいる医者を支援する医療。
telepathology
02.08
デスクトップビデオ
パーソナルコンピュータなどを使った個人的環境で行う映像情報編集形態。
desktop video
02.08.01
デスクトップミュージック
パーソナルコンピュータなどを使った個人的環境で,音楽を作曲・編曲又は演奏する形態。
desktop music
02.09
インフォテイメント
情報(information)及び娯楽(entertainment)の合成語であって,楽しめる情報サービス。
infotainment
02.09.01
ビデオゲーム
対話形の映像情報を楽しむシステム又はソフトウェア。備考 テレビゲームと同義であり,主として米国で使われる用語。
video game
02.09.02
エデュテイメント
教育(education)及び娯楽(entertainment)の合成語であって,両方の要素を取り入れた楽しく学習できるサービス。
edutainment
02.10
カーナビゲーション
自動車の位置を衛星などを使って測定し,その位置を地図上に電子的に表示したり,走行ルートなどを指示する,運転支援情報を与えるシステム。備考 CD-ROMに地図を記憶し,衛星などによる位置情報の測定結果を重ねてディスプレイに表示することが多い。
car navigation
03.01
ブラウザ
あらかじめ規定された様式で記憶した情報を,閲覧に適するよう表示するソフトウェア。備考 クライアントサーバ形のネットワーク環境の普及とともに,Netscapeのように,WAN又はLANで結ばれた他のコンピュータ内に記憶したものを閲覧するブラウザが登場している。ほぼ同義な語としてビュア(03.01.01参照)があるが,ビュアに比べると,データを“一覧する”という意味が強い。
browser
03.01.01
ビュア
あらかじめ規定された様式で記憶した情報を,人間にとって読みやすい又は認識しやすい形で表示するソフトウェア。備考 ほぼ同義な語としてブラウザがある。
viewer
03.02
アーカイブ
電子メディアにおける情報の保管場所。備考 元々は,公文書,古文書及びその保管場所を示す。それが,パーソナルコンピュータ,インタネットなどの電子メディアに適用されて,この定義の意味で使われている。
archives
03.03
インタネット
1.[コンピュータネットワーク用語] 網間接続ネットワーク。例えば,LANとLANとを広域に接続する。
2.[コンピュータネットワーク用語] TCP/lP (transmission control protocol/internet protocol)を採用して米国で実現された網間接続ネットワークを示す(固有名詞)。備考 Internetは,1970年代に米国防総省(DARPA)のコンピュータネットワークとして構築された。その後,TCP/IPを使った世界最大のコンピュータネットワークに発展した。DARPAを起源とするコンピュータネットワークは,厳密にはThe Internetと呼ばれる。
internet [1] ●Internet [2]
03.03.01
イントラネット
[コンピュータネットワーク用語] インタネットの技術を企業情報システムに応用したネットワーク。備考 WWW (world wide web)などのインタネット技術を,企業内又は企業間での情報共有に応用する。
intranet
03.03.02
ホームページ
[インタネット用語] インタネットのWWW (world wide web)サーバヘの情報アクセスに際して表示される,情報提供者ごとの入リ口に相当する画面。備考 index.htmlというファイルがホームページの画面になる場合が多い。
home page
03.03.03
マルチキャストバックボーン
[インタネット用語] インタネット上で特定のグループを指定してデータを送るためのネットワーク。備考 音声,動画などを放送するために用いられる。
multicast backbone●MBONE
03.03.04
World Wide Web●WWW
[インタネット用語] 1989年にスイスの欧州素粒子物理学研究所(CERN:Centre Europeen pour la Recherche Nucleaire)が開発した,インタネット上のハイパテキストシステム。備考 テキスト記述にはHTML(05.03参照)を用い,URL及びHTTPを組み合わせて世界中のインタネットリソースに対するリンクを実現している。
URL:uniform resource locator,リンク端を示すインタネット上のファイルアドレス。
HTTP:hypertext transfer protocol,インタネット上でハイパテキストのリンクのたどりを実行するプロトコル。
World Wide Web●WWW
03.03.05
Proxy Server
[インタネット用語] インタネット上でLANとWANとの間に位置し,LAN側のクライアントからの要求を受けてWANへのアクセスを代行する代理サーバ。備考 インタネット側からはProxy Serverしか見えないため,セキュリティの向上(例えば,ファイアウォールの構築)に利用する。漢字符号の変換に利用することもあり,これを特にDelegateサーバという。
Proxy Server
03.03.06
IP v6
[インタネット用語] インタネットのプロトコル開発を行っているプロジェクトであるIETF (Internet Engineering Task Force)が,次期ネットワーク層プロトコルとして規定しようとしているプロトコル。備考 現在用いられているv4と比べて,収容できるノード数を増やせるようにアドレス空間を128ビットに拡張している。中継処理の高速化を目指し