番号
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用語
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定義
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対応英語
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01.01
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文字
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可視化表現(形状,大きさ,意匠など),筆順,音,意味,起源,機能なとを属性としてもつ情報表現要素。参考 文書情報処理においては,限定された属性だけが対象となることが多く,その限定された属性に対して符号化表現なとの識別子を割り当てる。この標準情報(TR)における文字は,その属性として可視化表現だけを対象とする。
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character
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01.01.01
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漢字
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古代中国で発生した表意文字。参考 いん(殷)時代の甲骨文字にその起源を求めることができる。
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kanji (参考)
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01.01.02
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国字
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漢字と同じ字形要素及び造字法によって日本で作られた文字。和製漢字。参考 国字の総数を完全に把握することは困難である。わ(倭)字ともいわれる。
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Japan originated kanji (参考)
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01.01.03
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仮名
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漢字を起源にもつ,日本固有の音節文字。参考 広義には万葉仮名を含むが,狭義には平仮名及び片仮名を指す。
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kana (参考)
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01.01.04
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変体仮名
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1900(明治33)年の“小学校令施行規則”第十六条に含まれない仮名。
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anomalous kana (参考)
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01.02
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字体
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漢字の骨格であって,視覚的認識のために他と明確に区別できる特徴を備えている。参考 漢字符号の幾つかの規格では字体を抽象的な概念と位置付け,その具体的な形として実現されたものを字形と定義してしる。字体差の大小によって,差の少ないのは同値とみなし,差の大きいもの独立としている。文字の可視化表現から大きさ及び意匠デザインを正規化した抽象化表現を字体ということもある。(解説4.3参照)
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abstract letter shape (参考)
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01.02.01
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正字
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ある時代に公的又は社会的な規範とされる字体。参考 字体の規範は時代と共に変化する。したがって,正字とされる文字も時代によって変わる性格をもつ。従来の習慣としで“康き(煕)字典”に準拠した字体を,正字と呼んでいる。
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authorized letter shape (参考)
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01.02.02
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本字
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正字として認められる以前の時代から社会的に認知されている字体。参考 略字に対して,正字の漢字。ある漢字のもととなった漢字(大辞林参照)。
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true letter shape (参考)
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01.02.03
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異体字
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同じ音及び意味をもつ漢字の,正字とは異なる字体。参考 解説4.3を参照。
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variant
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01.02.03.01
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新字体
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当用漢字制定後の政令文字において,従来の字体から変更された文字。
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new letter shape (参考)
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01.02.03.02
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旧字体
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新字体の以前の字体。参考 当用漢字制定前の漢字は“康き(煕)字典”体を採用した経緯から,旧字体は康き(煕)字典体を意味するものとの解釈もある。常用漢字表の括弧内の文字を康き(煕)字典体としたことは,この解釈による。
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old letter shape (参考)
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01.02.03.03
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俗字
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公的な文書には用いられないが,日常生活の場で用いられる異体字。参考 本来の字体に対し,増画,減画,崩れなど,主に筆写の揺れなどに起因する変形が生じた字体。
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infomal variant (参考)
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01.02.03.04
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別体字
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異なる成り立ちをもつと判断される異体字。参考 従来,わく(或)体とされていた。わく(或)体は小てん(篆)に対して用いられる概念である。
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variant with other origin (参考)
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01.02.03.05
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か(譌)字
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一部では通用しているが,成り立ちから誤りであると判断できる字体。参考 日常生活における“間違い字”とは区別して定義している。
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01.02.03.06
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略字
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字画の一部の省略などの簡略化を施した俗字。
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simplified letter shape (参考)
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01.02.03.07
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古字
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漢時代に通用していた隷書に対して“古い文字”という意味で名付けられ,中国の戦国時代に用いられた字体。参考 ろ(魯)の地方にあった孔子の旧宅の壁中から発見された経書に書かれた書体とされる。“説文解字”における解釈上,“古文”又は“古〜に作る”とある。昔便われていて,今は使われない文字又は書体。
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ancient letter shape (参考)
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01.03
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グリフ
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文字の可視化表現又はその構成部分から大きさ及び意匠を正規化した抽象表現(JIS X 4161及びISO/lEC 10036を参照)。参考 ISO/IECの国際登録機関AFII (Association for Font Information Interchange)が,組織又は個人からの要求に応じて,ISO/IEC 10036に従って割り当てる識別子の識別対象。
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glyph
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01.03.01
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合字
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二つ以上のグリフを合わせて一体化したグリフ。参考 日本では,“こと”,“トキ”などを一つのグリフとして使用したことがある。
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composite glyph (参考)
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01.03.01.01
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リガチャ
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合成でない欧文の合字。参考 グリフf,i及びlを合わせて一体化したfi,fl,ffi,fflなどが,よく用いられる。
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ligature
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01.03.01.02
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連字
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二つ以上の文字からなる語又はつづ(綴)りを一つのグリフにまとめたもの,又はまとめること。
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inter-glyph connection (参考)
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01.03.01.03
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合成
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二つ以上のグリフの配置を制御して,ひとまとまりのグリフとしたもの,又はひとまとまりのグリフにすること。参考 ○及び数字の中心を合わせて,丸入りの数字のグリフを実現することがある。
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combined glyph (参考)
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01.04
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字形
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文字の骨格に対して,筆法,意匠などに基づく処理を施した結果の実際の文字可視化表現。参考 字体の項を参照。
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letter form (参考)
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01.05
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書体
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表示などに使用するため,統一的なコンセプトに基づいて作成された,一組の文字などの意匠。
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typeface
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01.06
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フォント
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ある書体でデザインされた字形の集合(JIS X 4161参照)。参考 本来は,同一書体及び同一文字サイズの活字の一そろ(揃)い。
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font
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01.06.01
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アナログフォント
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活字,文字盤などのフォント。参考 ディジタルフォントの普及の結果,それ以前のフォントを特に対比して区別するために,アナログフォントと呼ぶ。JIS Z 8123参照。
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analogue font (参考)
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01.06.01.01
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活字
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鉛,アンチモニー,すず(錫)などの合金を用いた印刷用字形の鋳造品(ISO TR 9544参照)。参考 歴史的には木活字,銅活字などもある。JIS Z 8123参照。
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type
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01.06.01.02
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写真植字
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光学的に文字などを印画紙又は感光フィルムの上に,文字ごとに又はブロックごとに露光して組版する技術。参考 活字では表現できない,拡大縮小,変形などを施した字形表現が可能であり,一つの字母から無限の文字が再生できる。JIS Z 8123参照。
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phototype-setting
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01.06.02
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ディジタルフォント
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ディジタルデータとして記録されたフォント。
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digital font (参考)
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01.06.02.01
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スクリーンフォント
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画面表示に用いるフォント。参考 画面表示専用のフォントの場合と,プリンタフォントと共通の場合とがある。
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screen font (参考)
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01.06.02.02
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システムフォント
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システムソフトウェアに組み込まれたフォント。
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system font (参考)
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01.06.02.03
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デバイスフォント
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表示装置に組み込まれたフォント。
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device font (参考)
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01.06.02.04
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プリンタフォント
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プリンタに組み込まれたフォント。
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printer font (参考)
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02.01
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欧文フォント
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ヨーロッパ諸国の言語を表示するフォント。
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Latin font (参考)
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02.02
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和文フォント
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日本語を表示するフォント。参考 07.01を参照。
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Japanese font (参考)
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02.03
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仮名フォント
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平仮名又は片仮名[約物(やくもの)含むこともある]文字から構成される和文フォント。参考 約物は,文章をくくり又は区切るために用いる記号類(句読点,括弧類など)。JIS Z 8123参照。
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kana font (参考)
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02.04
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数字フォント
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数字(記号類を含むこともある)から構成されるフォント。
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numeric font (参考)
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02.05
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中文フォント
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中国語を表示するフォント。
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Chinese font (参考)
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02.06
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ハングルフォント
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朝鮮語(チョソノ)をハングルで表記したテキストを表示するフォント。
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Hangul font (参考)
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02.07
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記号類フォント
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記号類から構成されるフォント。参考 記号類は,文章の意味理解を助け又は内容を補助するために,文章中において文字と共に用いるものの総称。
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02.08
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外字フォント
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システム又は利用者が独自に採用又は規定した文字から構成されるフォント。
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gaiji font (参考)
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02.09
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書体ファミリ
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一つの考え方又は様式(社会的に定着した理念)に基づいてデザインされた書体の集合。参考 ファミリ内変化の例として,この書体バリエーションを与えるパラメタは多様である。このパラメタには,画線の太さ,ローマン又はイタリック,平均的な字幅,ディセンダの長さ,アセンダの長さなどがある。
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typeface family (参考)
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02.10
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ウェイト
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字形の画線の太さの指標(JIS X 4161及びJIS X 4162参照)。参考 ウェイトの表記には一定の基準はなく,同一表記であってもフォントによってその画線の太さが異なることが多い。
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weight
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02.11
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斜体
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変形の一つで,横枠又は縦枠を斜めにしたもの。
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slant (参考)
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02.12
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長体
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変形の一つで,文字の横幅を縮小したもの。
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narrow (参考)
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02.13
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平体
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変形の一つで,文字の天地方向を縮小したもの。
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wide (参考)
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02.14
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送り
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隣接して並ぶ字形の対応する基準点間の変位。
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escapement
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02.15
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パイフォント
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通常装備されるフォントに含まれていない文字及び記号類のフォント。
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pi font (参考)
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03.01
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メトリク
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フォント又は一つの字形に固有の寸法情報を含む各種計量情報の総称。
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metric
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03.01.01
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フォントメトリク
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フォントに固有の寸法情報を含む各種計量情報の総称(JIS X 4161及びJIS X 4162参照)。
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font metric
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03.01.02
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グリフメトリク
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一つの字形に固有の寸法情報を含む各種計量情報の総称(JIS X 4161及びJIS X 4162参照)。
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glyph metric
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03.02
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字幅
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配列する方向の文字の外枠の大きさ。参考 グリフに外接するく(矩)形に両サイドベアリングを加えた幅。仮想ボディをもつ場合は,その幅に一致する。
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character width (参考)
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03.02.01
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a-zレングス
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aからzまでの全文字の字幅の合計。
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a-z length (参考)
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03.02.02
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プロポーショナル
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一つの書体中で文字の字幅が一定でなく,そのデザインに応じて文字ごとに独立した字幅の値をもっていること。参考 欧文書体は,一般的にプロポーショナルに作られている。
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proportional
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03.02.03
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モノスペース
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一つの書体中で,主要な文字の字幅がすべて等しくなるようにデザインさていること。参考 和文書体の各文字は,一般にモノスペースであり,正方形の中にデザインされる。
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mono-space (参考)
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03.03
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サイドベアリング
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欧文グリフの左端から仮想ボディの左辺又は右端から仮想ボディの右辺までの長さ。参考 左側のサイドベアリングをLSB (Left Side Bearing),右側のサイドベアリングをRSB (Right Side Bearing)と表記することがある。
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side bearing (参考)
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03.04
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xハイト
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欧文フォントのベースラインからの小文字xの高さであって,小文字の高さの基準(ISO TR 9544参照)。参考 小文字のxは,文字の下端をベースライン上にそろ(揃)えてデザインされている。オーバシュートがないため,文字の高さの基準として用い,キャップハイトに比較して小文字の大きさを示す。
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x-height
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03.05
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キャップハイト
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欧文フォントのベースラインからの大文字の高さ。参考 キャップハイトは,書体ごとに異なる。
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cap height
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03.06
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アセンダ
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b,d,f,h,k,l,tなどの文字の,xハイトよりも,上に伸びている部分。参考 ISO TR 9544参照。
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ascender
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03.06.01
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アセンダライン
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アセンダの最上部を示す,ベースラインに平行な仮想の線。
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ascender line (参考)
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03.07
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ディセンダ
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g,j,p,q,yなどの文字の,ベースラインより下に伸びている部分。参考 ISO TR 9544参照。
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descender
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03.07.01
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ディセンダライン
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ディセンダの最下端を示す,ベースラインに平行な仮想の線。
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descender line (参考)
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03.08
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オーバシュート●オーバハング
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O,A,Vなどの,上部又は底部が円弧状又は鋭角的な字形を,ベースライン又はキャップライン(小文字の場合はxハイト)よりも少しはみ出してデザインすること。又は,その輪郭線を用いて形状を記述する方式のフォント(JIS X 4163参照)。参考 これらの文字を他の文字と同じ高さにそろ(揃)えてデザインすると,視覚的に小さく見える傾向がある。オーバシュートはそれを補正する。キャップラインは,キャップハイトを通る,ベースラインに平行な仮想の線。
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overshoot●overhang
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03.09
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右付き
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(1)文字を仮想ボディの右寄りにデザンすること。 (2)(1)に従ってデザインした文字。
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right script (参考)
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03.10
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左付き
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(1)文字を仮想ボディの左寄りにデザンすること。 (2)(1)に従ってデザインした文字。
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left script (参考)
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03.11
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上付き
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(1)文字を仮想ボディの上寄りにデザンすること。 (2)(1)に従ってデザインした文字。
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superscript
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03.12
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下付き
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(1)文字を仮想ボディの下寄りにデザンすること。 (2)(1)に従ってデザインした文字。
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subscript
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03.13
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中心付き
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(1)文字を仮想ボディの字幅方向の中心にデザインすること。 (2)(1)に従ってデザインした文字。参考 文字の近くにつけて注意を促したり,その部分を強調する場合の圏点などに使用。
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mid-allocation (参考)
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03.14
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ルビ
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文字の近くにつけてその文字の読み,意味などを示す小さな文字。参考 原則として縦書きの場合は右側,横書の場合は上側に添える。ルビの組み方には,中付きルビ,肩付きルビ,モノルビ,グループルビ(割りルビ)などがある。ルビ文字の大きさで分類すると二分ルビ,三分ルビなどがある。
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ruby
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03.15
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文字サイズ
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文字の大きさ。ディジタルフォントでは仮想ボディの行送り方向の高さと等い。参考 文字大きさを表す単位としては,JISのポント(1ポイント=0.3514mm)及びQ数(1Q=0.25mm)が主に用いられている。新聞用活字は,1U (0.011inch)を文字サイズの単位とする。
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character size (参考)
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03.15.01
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Q数
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仮想ボディの大きさを表す単位。参考 1mmの4分の1の大きさで,quarterの頭文字をとってQで表す。
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Q (参考)
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03.15.02
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ポイント
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仮想ボディの大きさの単位。1ポイントは0.3514mmに等しい。参考 ポイント制は,いくつかある(フルニエ式,ディド一式など)が,我が国では,アメリカ式ポイント制を常用している。校正・編集作業では,“ポ”と表記する。
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point
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03.15.03
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倍数
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全角の字数によって表した組版指定用の単位。参考 和文組版では,使用する文字の全角の倍数で,組版の寸法,込め物の大きさなどを表す。欧文組版では,1パイカ(12ポイント)の倍数で表す。
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multiple (参考)
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03.15.04
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ユニット
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欧文フォントなどのプロポーショナルフォントの横幅を提示したり字間又は語間のスペースを測る際に用いる単位。参考 1エムの分割数。
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unit (参考)
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03.15.05
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全角
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高さと幅の比が1である文字の大きさの相対単位。参考 欧文文字のエムに相当する。
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zenkaku (参考)
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03.15.06
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エム
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欧文における文字サイズを示す正方形の幅。参考 本来は,欧文文字のMが高さと幅との比がおよそ1であることから,エムを全角として扱ってきた。ISO TR 9544参照。
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Em
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03.15.07
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半角●二分
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全角の2分の1の長さ。
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hankaku (参考)
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03.15.08
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エン
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欧文の文字サイズの半分の幅。参考 本来は,欧文文字のNが高さと幅との比がおよそ1/2であることから,エンを半角として扱ってきた。ISO TR 9544参照。
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En
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03.15.09
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二分四分
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全角の4分の3の長さ。参考 二分+四分。
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(3/4)zenkaku (参考)
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03.15.10
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三分
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全角の3分の1の長さ。
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(1/3)zenkaku (参考)
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03.15.11
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四分●四分
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全角の4分の1の長さで,スペース,約物などの大きさを表す。
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(1/4)zenkaku (参考)
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04.01
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グレースケールフォント
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白・黒の2値以外に中間調も用いて形状を表現する方式のフォント。
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grayscale font (参考)
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04.02
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アウトラインフォント
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任意の座標点間を直線又は曲線で結び,輪郭線を構成することで形状を表現するフォント。参考 アウトラインフォントでは,曲線表現のために円弧を用いる場合がある。
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outline font
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04.02.01
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円弧
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円周の一部分。
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arc (参考)
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04.02.02
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ベジェ曲線
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3次のパラメタをもつ次の等式から算出する近似曲線 x(t)=a_xt^3+b_xt^2+c_xt+X_0 y(t)=a_yt^3+b_yt^2+c_yt+Y_0 点(X_0,Y_0)を開始点とし,点(X_3,Y_3)を終了点とする。これらと関連して,制御点(X_1,Y_1)及び(X_2,Y_2)がある。参考 ベジェ曲線は,点(X_0,Y_0)から点(X_1,Y_1)への線区間と点(X_0,Y_0)で接し,点(X_2,Y_2)から点(X_3,Y_3)への線区間と点(X_3,Y_3)で接する。
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Bezier curve
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04.02.03
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拡張ベジェ曲線
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ベジェ曲線の式にふくらみを制御する係数を導入し,始点終点間の曲線のふくらみを変化できるようにした近似曲線。参考 複数のベジェ曲線での表現が,一つの拡張ベジェ曲線で可能になる。
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modified bezier curve (参考)
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04.02.04
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コニック曲線
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円すい(錐)曲線。参考 円,だ(楕)円,放物線,及び双曲線がある。
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conic curve (参考)
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04.02.05
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